対中けん制で日米と連携 「外交転換」に評価の声―韓国大統領が帰国

東京, 5月1日, /AJMEDIA/

【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は30日、国賓としての訪米から帰国した。尹氏は訪米中、「力による現状変更の試み」に繰り返し反対を表明し、中国を暗に批判。同盟国や友好国との協力で中国に対抗したいバイデン米政権に応じ、日米韓3カ国の連携を強化する姿勢も印象付けた。
 文在寅前政権は、最大の貿易相手国で北朝鮮に影響力のある中国への刺激を避けてきた。これに対し、尹政権は昨年、「インド太平洋戦略」を公表するなど対中国で日米と歩調を合わせようとしている。韓国政府関係者は「米中対立の中で文政権のようなあいまいな姿勢は続かない」という認識があったと説明する。
 26日の米韓首脳会談後の共同声明では、台湾海峡の平和と安定が「安全保障と繁栄に不可欠な要素だ」と踏み込んだ。さらに南シナ海での中国の海洋進出を念頭に「不法な海上領有権の主張、埋め立て地の軍事化や威圧的行為」を懸念事項として明示した。
 韓国の聯合ニュースは「米国の対中けん制に積極的に参加する方向に外交・安保政策を転換した」と尹氏の姿勢を評価。米政府高官も韓国政府の変化を「米韓はインド太平洋戦略を肩を並べて実行している」と歓迎した。
 また尹氏は、米上下両院合同会議での演説で、ロシアのウクライナ侵攻も糾弾。米韓同盟が自由や人権、民主主義といった価値を共有する「価値の同盟だ」と強調した。バイデン大統領との間で強固な連携をアピールし、核抑止に関する情報共有を強化する「核協議グループ(NCG)」新設など対北朝鮮の抑止力強化でも成果を出した。
 韓国メディアの多くは、尹氏の訪米について「米韓同盟を格上げし、米議会での堂々たる演説で国民に自負心を与えた」(保守系紙・朝鮮日報)など好意的に報じた。一方、革新系紙ハンギョレは社説で「北朝鮮や中国、ロシアと過度に対立し、最前線に立つのは無謀だ」と非難した。
 世論調査機関「韓国ギャラップ」が28日発表した世論調査では、尹氏の支持率は前週から1ポイント低下した30%。不支持率は3ポイント上がり63%だった。対日外交などを巡る批判に直面し、景気も減速する中で、支持率回復の見通しはまだ見えてない。

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