安保土地規制へ新組織 年内にも600カ所選定―政府

東京, 6月5日, /AJMEDIA/

 自衛隊基地周辺や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制する「重要土地等調査法」の一部が1日に施行されたことを受け、政府は局長級の内閣府政策統括官をトップとする約30人体制の組織を新設した。年内にも600カ所以上の対象区域を指定する見通し。不必要な私権制限や住民監視につながるとの懸念を残している。
 重要土地等調査法は自民、公明両党と日本維新の会などの賛成で昨年6月に成立した。先行的に施行されたのは、規制区域の選定に当たり意見を聴く「土地等利用状況審議会」の設置など。規制対象となる行為などを定めた基本方針を、完全施行する9月までに閣議決定。その後に指定作業に入る段取りだ。
 同法は自衛隊や在日米軍、海上保安庁の施設と、内閣が政令で定める「生活関連施設」を、「重要施設」と規定。首相はその周辺1キロの範囲や国境離島などを「注視区域」に指定できるとした。
 この区域内では居住者や地権者に関する国の実態調査を認め、施設の「機能を阻害する行為」に罰則を科す。さらに、重要施設と国境離島のうち「特に重要なもの」を「特別注視区域」と位置付け、一定規模以上の売買に事前の届け出義務を併せて課す。
 ◇「住民監視」に疑念
 国会審議では、規制区域の指定基準、国による調査項目、機能阻害行為の類型などの曖昧さが問題となり、立憲民主党や共産党は「恣意(しい)的な運用が可能で私権制限につながる」として反対した。これらの点が基本方針でどの程度明確になるかが焦点となる。
 政府の担当者は機能阻害行為の例として、自衛隊機の航行に影響を与える電波障害設備の設置などを挙げる。ただ、これにはマイクスタンド程度のものも該当する可能性がある。条文が抽象的で、具体的な内容を政令に委ねる手法も目立つ。
 北海道苫小牧市や長崎県対馬市の自衛隊基地周辺不動産が中国や韓国の資本に取得された事例があったのが法律制定の発端。ただ、調査や規制の対象は外国資本に限定せず、広範に及んでいる。

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