大阪・関西万博まであと2年 成功のカギを握るのは?

東京, 1月20日, /AJMEDIA/

2025年に大阪市の夢洲(ゆめしま)地区での開催が予定されている大阪・関西万博(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会主催、以下万博協会)。すでに公式キャラクター「ミャクミャク」が発表されたり、事前イベントが開催されたりと、開催にむけて少しずつ盛り上がりを見せている。

そんな大阪・関西万博のカギを握るのが「SDGs」だ。万博協会は「EXPO for SDGs」を掲げ、2030年までにSDGsを達成するためのプラットフォームになる、としている。

そこで今回は、なぜ万博でSDGsなのか、そして企業が対応すべきことはあるのか、を解説する。
なぜ万博でSDGsなのか?
まずSDGsの期限とされている2030年までのタイムラインを確認する。2015年にスタートしたため、本年は折り返し年だ。

2015年は、環境面(E)ではパリ協定が、企業統治面(G)ではコーポレートガバナンス・コードの開始が、そして経済・社会・環境(ESG)の3側面ではSDGsの採択があった。この年は「持続可能性新時代」の幕開けであり「ESG元年」といえる年で、潮目が大きく変わった(図表)。

そして2019年ごろからは、欧米企業の後を追う形で、日本企業もSDGsを競争戦略に活用する「SDGs経営」を加速してきた。万博を招致するうえでも、この国際的な流れは無視できないものとなっていた。
大阪が「SDGs」を実装した未来都市に
そんな中、政府は大阪・関西万博の招致外交で、「SDGsの実現」を目標に掲げた。

2018年11月にパリで開催された博覧会国際事務局(BIE)総会での最終プレゼンテーションでは、パナソニックの執行役員が、アジア・アフリカなどの無電化地域にソーラーランタンを寄贈してきた活動をアピールした。

その結果、BIE加盟国の投票により開催が決定。ほかに立候補したのは、日本のほか、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)であった。

これを受け、2020年度には開催地の大阪府と大阪市が「2025年大阪・関西万博をインパクトとした『SDGs先進都市』の実現に向けて」を共同提案。「SDGs未来都市」および「SDGs自治体モデル事業」にも選定された。

また、大阪市は2022年4月、政府が進める「スーパーシティ」の第一弾に、つくば市とともに選ばれている。スーパーシティとは、テクノロジーを活かした持続可能で住みやすいまちづくりを実践する自治体のことである。つまり、世界に先駆けて未来の生活を実現する「まるごと未来都市」だ。
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万博に向けて、企業が対応すべきことは?
大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。サステナブルな未来に向けた日本の創造性とイノベーション力が試される。万博協会の大阪・関西万博基本計画には、次のように記されている。

SDGsへの取り組みは、世界共通の課題の解決を目指すものであり、本万博を開催する意義である。SDGsの本質は、いのちを起点に様々な課題を紡いでいく試みである。これは、一人一人のいのちが輝くとともに、世界が、自然界が持続可能であることを望み、未来を共に創る営みである。

具体的に目指すものは次の2点である。

・国連のSDGsが達成される社会
・日本の国家戦略Society5.0の実現

特にSDGs目標9 「イノベーション」におけるインフラ整備と産業化推進や、目標17 「パートナーシップ」が主軸になる。今回の大阪・関西万博のテーマでは、目標3 の「保健」への貢献も強調されている。

万博の運営・調達にあたっては、イベントサステナビリティの規格で、2012年のロンドン夏季オリンピックで始まった「ISO20121」の認証も視野に置く。また、各種の調達コードも策定される。

このような姿勢は、万博に直接絡む公式パートナー企業はもちろんだが、持続可能性を念頭に置いた万博運営や調達のルールが設定されることで、公共調達などを通じて、ビジネス全般に影響を与えていくと考えられる。

この動きは不可逆的であり、ビジネスチャンスでもある。企業はよく勉強し、今後の社会ニーズを探る必要がある。

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