地銀不安、商業不動産が火種に 融資減で資金繰り懸念―米

東京, 5月4日, /AJMEDIA/

【ニューヨーク時事】米国では、中堅銀行の相次ぐ破綻で、商業用不動産市況の悪化に拍車が掛かるとの懸念が強まっている。オフィスビルやショッピングモールなど商業用不動産への貸し付けが多い中堅・中小の地方銀行が、金融不安を背景に融資を絞れば、関連企業の資金繰りが悪化する恐れがある。関連する金融商品も多く、金融不安増大の火種と警戒されている。
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 商業用不動産価格は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを始めた昨年、下落に転じた。調査会社グリーン・ストリート・アドバイザーズが算出する商業用不動産価格指数は今年3月にはピークだった1年前から15%下落。特にオフィスの下落率は25%と落ち込みが顕著で、「在宅勤務の普及など働き方の変化も逆風」(邦銀関係者)という。
 苦境を助長しかねないのが、シリコンバレー銀行やファースト・リパブリック銀行などの破綻による金融不安だ。
 調査会社トレップによると、商業用不動産向けローン残高のうち、中堅・中小銀行を中心とした銀行融資は半分を占める。「地元の事情に詳しい地銀が力を発揮しやすい」(米エコノミスト)とされ、金融緩和期に大きく残高を伸ばした。
 しかし、3月以降の銀行破綻を踏まえ、中堅・中小銀行の間では、財務基盤強化のため融資を厳しくする動きが広がっている。不動産開発会社の資金繰りが悪化すれば、銀行にとっても不良債権の増大につながり、経営危機を招く悪循環に陥る恐れがある。
 商業用不動産担保ローン証券や不動産投資信託(REIT)でも、価格下落圧力は強まっている。米銀幹部は、商業用不動産関連の貸倒損失はまだ大幅増加が見られないが、「時間とともに厳しさは増していく」と話している。

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