国連安保理、分断浮き彫り 日本「法の支配」で結集目指す

東京, 1月14日, /AJMEDIA/

 国連安全保障理事会で今月の議長国を務める日本の林芳正外相が主宰した公開討論会が12日(日本時間13日)、米ニューヨークで開かれた。ロシアによるウクライナ侵攻を機に加盟国間の溝が深まる中、日本は「法の支配」をテーマに据えて各国の結集を目指した。しかし、欧米とロシア・中国は非難の応酬を展開し、分断が改めて浮き彫りとなった。岸田文雄首相は機能不全が指摘される安保理改革を訴えているが、前途は険しそうだ。
 日本は今月から安保理非常任理事国に就き、さっそく議長国を務めている。討論会はほぼ毎月開催され、テーマは議長国が選定。日本は国連憲章に立ち返り全加盟国が同意しやすい「法の支配」を掲げた。外務省幹部は「安保理が本来の責任を果たせるよう日本として積極的に貢献したい」として、安保理改革に向けた足掛かりとする狙いだった。
 討論会には過去1年間で最多となる77の国・地域・機関が参加。林外相はロシアや覇権主義的な動きを強める中国を念頭に「法の支配は力や威圧によって国境を書き換えることを許さない」と強調。記者団には「法の支配の重要性については基本的に異論はなかった」と胸を張った。
 しかし、「ルールに基づく国際秩序」を巡り、欧米とロシア・中国間の相違は改めて鮮明となった。ウクライナ侵攻に関し、欧米側は「国際的な法的根拠はない。ロシアに責任を負わせなければならない」(米国代表)と非難。一方、ロシアは「西側が作り出したルールに基づく秩序には同意できない」と唱え、中国も「一部の国は彼らの基準を他国に押しつけようとしている」と指摘した。
 こうした中、中東、アフリカの各国では法の支配を巡り中立的な立場が目立ち、アラブ首長国連邦(UAE)は「基本原則の尊重は、強い者の利益に関わる場合にのみ保護されるものであってはならない」との考えを示した。
 安保理の機能回復を目指す日本はこれらの国々に対し、法の支配の考え方の共有に向けて働き掛けを強めていく考えだ。

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