君臨13年「日大のドン」 側近重用、私物化批判も―事件説明せず・田中容疑者

東京, 11月30日, /AJMEDIA/

所得税法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された日本大学理事長の田中英寿容疑者(74)。日本有数の私立大トップに13年間君臨し、学内外から「日大のドン」と恐れられる一方で、大学運営では側近を重用し、「大学を私物化している」との批判が絶えなかった。大学をめぐる背任事件が発覚しても、公の場で説明することはなかった。
 田中容疑者は1965年、日大経済学部に入学。相撲部の選手として活躍し、3年時に学生横綱にもなった。卒業後は同大に就職し、83年、相撲部監督に就任。同部を学生相撲の強豪に育て上げ、元小結・舞の海や同・智乃花ら有力力士を輩出した。
 学内での地位も着々と固め、99年に理事、2000年には運動部を束ねる保健体育事務局長に就任。予算や人事を握ることで存在感をさらに強め、08年9月、学校法人トップの理事長に就いた。学外では日本オリンピック委員会(JOC)副会長や日本相撲連盟副会長の要職も歴任した。
 理事長就任後は、独断的な大学運営が目立った。大学の施設管理や委託業務契約の窓口などを一括して担う組織として10年に設立された「日本大学事業部」は田中容疑者に近い人物らが役員を務め、「利権あさり」とも指摘された。ある日大関係者は「妻が経営するちゃんこ料理屋には日大関係の人しか行かず、妻に気に入られた人物が出世する」と打ち明ける。
 日大関係者は田中容疑者について、「こわもてなイメージはあるが、実際は非常に弱い人間」と評した上で、「歯向かう人物には直接は何も言わない。人事部に命じて左遷させることを繰り返し、今の『帝国』を築いた」と話した。
 背任事件の関係先として自宅などが家宅捜索を受けた9月以降は、体調不良を理由に大学の付属病院に入院。入院先から出勤し、理事会では事件への自身の関与を否定したが、記者会見などを開くことはなかった。

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