台湾威嚇、対米は「寸止め」 島囲む6カ所で軍事演習へ―中国

東京, 8月4日, /AJMEDIA/

ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発する中国は3日、台湾への軍事的威嚇を強めた。ただ習近平政権は米中関係を安定させたいのが本音で、現段階では米側への圧力を衝突には至らないぎりぎりの線に「寸止め」している。
 ペロシ氏が台湾に到着した2日夜、中国は外務省、国防省など5機関が訪台を非難する文書を矢継ぎ早に発表し、強い憤りを示した。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議のためカンボジア入りした王毅国務委員兼外相はメディアに対し、ペロシ氏訪台を「徹頭徹尾の茶番だ。火遊びする者にいい結末はなく、中国を侵犯した者は必ず罰を受ける」と批判した。
 新華社通信によると、中国軍は4日正午から7日正午まで、台湾周辺6カ所の海空域で軍事演習や実弾射撃を実施。船舶や航空機が演習区域に入らないよう求めている。
 台湾メディアは演習区域に関し、台湾を取り囲むように軍事基地の沖合に設定され、「3日間の台湾封鎖に近い」と伝えた。中国が周辺海域で軍事演習を行った1995~96年の台湾海峡危機と比べ、今回は演習区域に台湾東部沖も加わり、6カ所同時という点でも異例。中国軍東部戦区は既に2日夜から海空合同演習を始めており、台湾東部ではミサイル試射も行っている。
 対台湾に比べ、米国への中国軍の威嚇行動は限定的だ。共産党機関紙系の環球時報で編集長を務めた著名論客の胡錫進氏はSNSで、ペロシ氏が訪台すれば搭乗機の進路を中国軍機が妨害し、「撃ち落としても構わない」と主張していた。
 ペロシ氏の台湾到着直前、中国メディアは中国軍のSU35戦闘機が台湾海峡を飛行中だと一斉に速報。しかし方角などの続報はなく、ペロシ氏の搭乗機へ接近を図ったのかは明らかでない。
 中国は米国との直接対決を避けながら、大規模演習などで台湾への威圧を高める機会にペロシ氏の訪台を利用しようとする思惑も透ける。7月下旬のフォーラムで清華大学台湾研究院の巫永平院長は、ペロシ氏が訪台すれば中国は反撃し、「必ず台湾海峡の現状を変え、統一プロセスを推進することになる」と予告していた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts