反転攻勢「大きなヤマ場」 駐ウクライナ日本大使

東京, 9月14日, /AJMEDIA/

松田邦紀駐ウクライナ大使は12日、時事通信のインタビューに応じ、侵攻を続けるロシア軍に対してウクライナ軍が南部や東部で進める反転攻勢について、「戦争全体の行方に直結する大きなヤマ場だ」と語った。ウクライナ側は今月に入り、北東部ハリコフ州の要衝イジュムなどを奪還。失地回復のペースを上げている。
 松田氏は「ロシアは電撃作戦で、国家としてのウクライナを崩壊させるという開戦当初の目的達成に失敗した」と指摘。4月以降、東部ドンバス地方の占領拡大・固定化に戦争目的を変更したが、反転攻勢によって、「それも達成が難しくなりつつある」と分析した。
 ロシア軍の侵攻に伴い、在ウクライナ日本大使館は3月に閉鎖。現在はポーランド南東部ジェシュフに拠点を置く。松田氏は先月下旬から約2週間、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、シュミハリ首相ら政府高官と意見交換するとともに、治安状況などを踏まえて大使館再開の可否を探った。ただ、再開時期については「総合的に検討している」と述べるにとどめた。先進7カ国(G7)で日本の大使館だけが閉鎖されたままとなっている。
 キーウ滞在中、ウクライナ側からは、冬に向けた準備が最大の課題と説明を受け、「日本からの協力を期待された」という。破壊されたインフラや学校、病院の復旧に加え、国内避難民向けのシェルターや暖房器具、浄水器なども必要になっている。ウクライナ側は早期の復旧費用として170億ドル(約2兆4000億円)、そのうち年末までに34億ドル(約4800億円)を見積もっているという。
 他方、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に日本の商社が継続参画することについて、松田氏はウクライナ側に「日本のエネルギー安全保障にとって重要なプロジェクトだ」と説明。「異論や反論はなかった」という。

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