原発・防衛で論戦激化へ 岸田首相、政権浮揚に正念場―通常国会

東京, 1月11日, /AJMEDIA/

 第211通常国会は23日に召集される。会期中の4月に統一地方選などを控える上、原発政策転換や防衛力強化など重要政策に関連した「対決法案」が目白押し。岸田文雄首相は実績を重ね、政権浮揚につなげたい考えだが、野党は攻勢を強める構えで、論戦が激化しそうだ。
 「信頼の重要性を鑑みながら、緊張感を持って政治を進めたい」。首相は8日のNHK番組で、政策を着実に前進させることで、低迷する内閣支持率の回復に努める考えを強調した。
 通常国会は6月21日までの150日間。4月には統一地方選と併せて衆院補欠選挙が行われる見込みで、5月には広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる。自民党内から早くも「日程が窮屈」(国対関係者)との声が上がる中、首相は3月末までに2023年度予算案を成立させ、政府提出法案(10日現在で61本)の処理に移ることを目指すが、一部は野党の反発が確実だ。
 最大の対決法案と目されているのが、原発の60年超の運転を可能にする原子炉等規制法改正案。政府は昨年12月、原発を「最大限活用」する方針に転換したが、立憲民主党は「過去への回帰だ」(泉健太代表)と批判を強める。
 昨年12月の安全保障関連3文書の改定を受け、政府は予算案に過去最大の防衛費を盛り込み、「防衛力強化資金」の創設法案も提出する。これに対し、立民は日本維新の会と昨年の臨時国会に続き「共闘」し、「増税より行財政改革が先決だ」と徹底追及する意向だ。
 立民の岡田克也幹事長は10日、原発政策転換と防衛力強化を挙げ、「しっかり国会でやっていく」と金沢市で記者団に宣言した。
 政府は、一昨年の通常国会で廃案となった入管難民法改正案、後期高齢者医療制度の保険料を増額する健康保険法改正案、会員選考への第三者の関与を可能にする日本学術会議法改正案も提出する方向で調整。いずれも「与野党対立含み」(政府関係者)だ。
 野党は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を引き続き取り上げる構え。4閣僚の辞任を踏まえ、「政治とカネ」の問題も追及する。自民党の閣僚経験者は「かなり大変な国会になる。対応を誤れば、首相の足元が揺らぐ可能性も否定できない」と危機感を示した。

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