北朝鮮の挑発助長か 安保理分断、身動き取れず

東京, 5月28日, /AJMEDIA/

常任理事国の中国とロシアが対北朝鮮制裁決議案に拒否権を初めて行使し、国連安全保障理事会の分断がロシアのウクライナ侵攻に続き、再び浮き彫りになった。北朝鮮が7回目の核実験を近く行う可能性が指摘される中、安保理が身動きを取れずにいることで、核・ミサイル活動が一層活発化する恐れがある。
 「2カ国が安保理を沈黙させ続けることは北朝鮮を大胆にさせるだけだ」。カリウキ英次席国連大使は決議案否決を受けた演説でこう述べ、危機感を隠さなかった。
 中ロを除く13理事国は北朝鮮の相次ぐミサイル発射や核開発を「脅威」だと指摘。「容認しないという明確なメッセージを送る」(ブラジル)ため、米国提案の追加制裁に賛成したが、中ロの拒否権に阻まれた。
 石兼公博国連大使は会合で「拒否権は何のためにあるのか、安保理は何のためにあるのか、問わずにはいられない」と機能不全を糾弾。会合後、報道陣に対し、今回の否決が「北朝鮮の行動を安保理が容認したと間違って受け止めないよう求める」と訴えた。
 会合後、日米韓は共同声明を発表した。読み上げたトーマスグリーンフィールド米国連大使は、中ロの拒否権行使が北朝鮮にとってさらなる挑発行為の「承認」になる恐れがあると強調。「北朝鮮の不当なエスカレーションと繰り返される国際法違反から地域、世界を守るために協力することを決意する」と力を込めた。
 しかし、北朝鮮は25日に新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と短距離弾道ミサイルとみられる計3発を発射したばかり。核起爆装置の作動試験が探知されるなど、核実験の準備も最終段階にあると指摘されており、強硬姿勢は崩れそうにない。

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