労働市場にインフレ圧力 米、金融政策の運営難しく

東京, 5月7日, /AJMEDIA/

【ワシントン時事】5日発表された4月の米雇用統計は、労働市場の過熱を改めて示す内容となった。連邦準備制度理事会(FRB)は3日の政策会合で、利上げ停止の可能性を示唆したが、物価上昇を生み出している環境に顕著な変化は見られない。インフレ抑制と景気後退の回避を両立させる政策運営は容易ではない。
 雇用統計では、非農業部門就業者数が季節調整済みで前月比25万3000人増と、市場予想(18万人増)を大きく上回った。失業率も0.1ポイント改善し、3.4%と歴史的な低水準。景気は減速基調にあるものの、労働需給が「依然極めて逼迫(ひっぱく)している」(パウエルFRB議長)ことを示した。
 パウエル氏は3日の記者会見で、インフレが落ち着くには、賃金上昇率が3%程度に下がる必要があると説明した。だが、4月の平均時給の伸びは前年同月比4.4%と高止まりしている。
 一方、米国では3月以降、中堅銀行3行が相次いで破綻。信用不安を背景とした銀行の「貸し渋り」が広がれば、景気や雇用の拡大に想定以上のブレーキがかかる恐れがある。銀行による融資条件の厳格化は「不透明な逆風」(パウエル氏)になりかねず、FRBは経済への影響を警戒している。
 FRBは昨年3月にゼロ金利政策を解除した。その後の急激な利上げはまだ実体経済には完全に響いていない。雇用統計を踏まえれば、インフレ抑制に必要な労働市場の鈍化には「しばらく時間がかかる」(FRB高官)とみられる。信用不安も考慮した政策運営には微妙な「さじ加減」が求められている。

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