円安基調変わらず 金利差拡大は継続、実力行使もなく―G7

東京, 5月21日, /AJMEDIA/

先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は、為替の安定が重要だとする共同声明を採択した。鈴木俊一財務相は、最近の円安は急速と説明し、G7での「緊密な意思疎通」と「適切な対応」を呼び掛けた。ただ、米欧との金融政策の違いによる金利差拡大は続き、円安要因は増幅する。円買い介入など実力行使を伴わない「空砲」では、円安基調は変わりそうもない。
 4月下旬の日米財務相会談で、鈴木氏は急激な円安への懸念を訴えたが、その後も円安は進行。5月初めには東京市場で一時1ドル=131円台と約20年ぶりの円安水準となった。輸入原材料の価格高騰などの悪影響も目立ち始め、日本側はG7で円安けん制を狙った。しかし、イエレン米財務長官はG7開幕に先立ち開いた記者会見で、ドル高は「理解できる」と事実上容認した。
 1990年代のアジア通貨危機や日本の金融危機の際に円買い介入を主導した元財務官の榊原英資氏は「インフレ抑制の観点からは(米国にとって)ドル高の方が都合が良い」と指摘し、協調介入で合意を得るのは困難だとの認識を示している。
 市場では1ドル=135~140円まで円安が進むとの見方が広がる。日本はエネルギーと食料を海外に依存しており、代金を外貨で支払う際に円売り圧力がかかりやすく、「積年の課題を放置してきたツケを払わされている」(シンクタンク)との声も上がる。円安是正には、海外資金を国内に呼び込む成長戦略や、エネルギー・食料自給率を高める構造改革が王道と言えそうだ。

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