侵攻下、覚悟の更迭 汚職脱却と信頼回復を優先―ウクライナ

東京, 1月26日, /AJMEDIA/

 ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、ロシアによる侵攻下、大規模な政権人事に踏み切った。実態は、対策道半ばの汚職問題を背景とした更迭劇。弱さをさらけ出すことは「敵国を利する」と疑問視する声もある中、欧州連合(EU)加盟候補国として旧態依然の体質から脱却する覚悟を示した形だ。
 焦点の主力戦車など、西側諸国の支援を継続的に受けるためにも、信頼回復が最優先と見なした可能性がある。
 ロシア独立系メディア「メドゥーザ」によると、解任されたのは11人で、そのうち多くは不祥事で足をすくわれた。
 中でも注目は、兵士向け食材調達で「小売価格の2~3倍」(現地メディア)という不自然な契約を結んだとされる国防省。巨額の「差額」の行方は不明だ。兵士が命懸けで戦う中、高官が私腹を肥やす印象を抱かれ、シャポワロフ国防次官が辞任に追い込まれた。
 国防省の信頼が低下すれば、士気に影響しかねない。ゼレンスキー氏は「聖域」なくメスを入れた格好で、汚職疑惑を暴いた調査報道にも謝意を示した。ただ「トカゲの尻尾切り」の懸念は残っている。
 また、動員令で男性が原則出国できない中、「戦争犯罪」捜査を担う最高検ナンバー2のシモネンコ氏は、スペインで休暇を過ごしたと報じられ、更迭された。
 政権中枢では、ティモシェンコ大統領府副長官の「高級車」趣味が批判された。昨年、米国から人道支援用に供与されたスポーツ用多目的車(SUV)で「マイカー通勤」。戦時下の首都キーウ(キエフ)でドイツのポルシェを運転していたと伝えられ、24日の解任につながった。
 「不祥事を問題視している場合かと反論する人には、今はポルシェを乗り回している場合かと問い直してほしい」。現地メディア「ウクラインスカ・プラウダ」記者はこう訴えていた。

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