侮辱罪厳罰化、改正刑法成立 ネット中傷抑制に期待―「拘禁刑」創設、懲役・禁錮を一本化

東京, 6月14日, /AJMEDIA/

 インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を強化するため、侮辱罪の法定刑の上限を引き上げる改正刑法が13日の参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党などの賛成多数で、可決、成立した。今夏にも施行される。ネットで中傷を受けたプロレスラー木村花さん=当時(22)=が命を絶ったことをきっかけに厳罰化の機運が高まった。ネット交流サイト(SNS)などでの悪質な投稿を抑制することが期待される。
 改正前の法定刑は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」で、刑法上最も軽い。法改正によって「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」となり、公訴時効も1年から3年に延びる。
 匿名で行われることの多いネット上の中傷は加害者の特定に時間がかかるため、厳罰化そのものによる抑制効果に加え、立件の可能性が高まることが期待される。
 成立を受けて東京都内で記者会見した木村花さんの母親、響子さん(45)は、花さんを中傷する投稿をした2人に対する刑事処分が科料9000円の略式命令だったことについて「抑止力にならず、理不尽だと思った」と振り返り、厳罰化は「やっとという思いが強い」と語った。
 ただ、国会審議で野党からは「表現の自由」への影響を懸念する声が相次いだ。「街頭演説でやじを飛ばせば逮捕される可能性がある」として、言論弾圧につながると主張。このため、施行から3年後に、表現の自由に対する不当な制約になっていないか、外部有識者を交えて検証を行うとの付則が追加された。
 今回の改正で、懲役刑と禁錮刑を廃止し、「拘禁刑」として一本化。受刑者それぞれの事情に合わせて、作業と指導を行うことを可能にし、再犯防止につなげるのが狙いだ。
 刑の種類や名称の変更は1907年の現行刑法制定後、115年間で初めて。公布から3年後に施行される見通しだ。

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