介入めぐる心理戦、長期化へ 円安、145円台に再接近―24年ぶり円買い介入から1週間

東京, 9月29日, /AJMEDIA/

 急速な円安に歯止めをかけるため、政府・日銀が24年ぶりに円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ってから、29日で1週間がたつ。円相場の下落基調は変わらず介入を実施した1ドル=145円台に再び迫る勢いだ。円安の背景には日米の金融政策の方向性の違いによる金利差拡大がある。追加介入のタイミングや規模をめぐる市場との心理戦は長期化しそうだ。
 政府・日銀が22日に実施した為替介入は日本単独で行われ、円買い介入として過去最大の3兆円規模に上るとみられる。介入後、円相場は145円台から一時140円台へ急伸したものの、円安方向に揺り戻しが進んでいる。
 今週に入り、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部から、現行の積極的な利上げ路線を支持する発言が相次いだのに対し、日銀は大規模緩和を堅持。市場では日米金利差の拡大が改めて意識されている。
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「政府は、米長期金利がいずれ低下すると見込んでいる」と指摘。その上で、「介入によってサプライズは起こせた。米金利が低下し円安が落ち着くまで、心理戦を仕掛けたいのだろう」と分析する。
 次の焦点は追加介入のタイミングだ。鈴木俊一財務相は「必要に応じて対応を取る考えに変更はない」と市場をけん制。財務省幹部は対外的なアナウンスをしない「覆面介入」の可能性も示唆している。30日には9月の介入実績が公表されるが、市場予想を上回る規模であれば、覆面介入への警戒感が強まることになる。
 ただ、円買い介入の原資となる手持ちのドル資金には限りがあり、介入には「弾切れ」の不安が付きまとう。介入を繰り返すことで、効果が薄れていく可能性も高い。アメリカの利上げペースに翻弄(ほんろう)される状況に変わりはなく、政府・日銀は引き続き難しい判断を迫られる。

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