二階・世耕氏、自民重鎮が暗闘 補選候補選び迷走―衆院・和歌山

東京, 1月16日, /AJMEDIA/

 4月に見込まれる衆院和歌山1区補欠選挙が迫る中、自民党の候補者選考が迷走している。背景には、改正公職選挙法施行で県内の衆院小選挙区が3から2に減る中、県選出の自民党国会議員4人の思惑が入り乱れていることがある。和歌山を含む補選の結果は岸田文雄首相の政権運営に影響する可能性があり、党関係者は焦りを強めている。(敬称略)
 ▽横やり
 「手続きが重要だ。決定が少し遅れても、一致団結できるようにすべきだ」。1区補選への対応を協議した7日の自民党県連拡大役員会。県連内では、党本部に話を通していた二階派所属の参院議員鶴保庸介(55)のくら替え出馬で決着するとの見方が強かったが、参院幹事長世耕弘成(60)が横やりを入れた。
 結局、会議は選考組織の新設を決めただけで終了。候補者お披露目の場になるはずだったこの後の新春ラジオ番組で、県連会長で元幹事長の二階俊博(83)は「意見を結集し、決める時は一発で決めたい。必ず勝ち抜きたい」と説明するしかなかった。
 県内の衆院小選挙区は近年、1区で知事岸本周平(66)=国民民主党離党=、2区で自民党の元総務相石田真敏(70)、3区で二階が当選を重ねてきた。ただ、改選公選法に基づく「10増10減」によって、2区は次回の総選挙から北部の新1区と南部の新2区に吸収されることが決まった。
 昨年11月には岸本が知事に転身したため、自民党内では長年の悲願である県庁所在地での議席獲得に期待が高まっている。椅子取りゲームに例えれば、二つの椅子を、二階、石田、衆院くら替えをうかがう世耕、鶴保の自民党議員4人が争う構図だ。
 ▽新2区で世耕の姿
 県連が迷走する背景には、二階派会長の二階と安倍派幹部の世耕による暗闘がある。新2区は選挙区の大部分が二階の地盤。こうしたこともあり、二階は次期衆院選に新2区から出馬するとの見方が県連内では強い。世耕も虎視眈々(たんたん)と立候補をうかがうが、二階周辺は「世耕に出る幕はない」と敵対心をむき出しにする。
 世耕は知名度が高く、党内には「1区補選がくら替えのチャンス」(県連関係者)との声もあったが、首を縦に振らなかった。新2区には衆院議員だった祖父の出身地・新宮市が含まれ、県連関係者によると、世耕は新2区を目指す意向を支援者に伝えたという。
 地元では、二階はいずれ新2区の地盤を息子に譲りたいのではとの見方が強い。このため、県連内では鶴保が1区補選に出馬すれば、その後継として息子を参院選に擁立し、国政進出の足掛かりにするのではとささやかれている。世耕が鶴保擁立案に異論を唱えたのは、このままでは県連内で二階の影響力が強まり、自身のくら替えにとって得策ではないと判断したとみられる。
 二階と世耕による主導権争いは今回が初めてではない。昨年11月の知事選で、世耕は総務官僚出身の青森県職員の擁立を模索した。しかし、県町村会が世耕に反旗を翻し、岸本を推した。二階が影響力を持つ業界団体にも追随する動きが広がり、結局県連は岸本の推薦を決めた。
 党所属議員による「政治とカネ」の問題が相次ぎ、岸田内閣の支持率が低迷する中、4月の補選は自民党の苦戦も予想される。そんな中で、「保守王国」の和歌山補選は首相にとって「負けられない選挙」(党幹部)だ。日本維新の会も新人の擁立を目指しており、自民党県連関係者は「時間がないのに、国会議員は自分のことばかりだ」と頭を抱えている。

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