乏しい説得材料、原告反発 政府はなお解決急ぐ―韓国

東京, 1月13日, /AJMEDIA/

韓国政府は12日の元徴用工問題の公開討論会で、既存の財団による肩代わり案を公表したものの、被告企業の資金拠出など日本側の「呼応」を巡っては、原告側の求めに事実上「ゼロ回答」で応じた。原告側関係者は強く反発するが、政府はなお解決を急ぐ構えだ。
 討論会で韓国外務省の徐旻廷アジア太平洋局長は「被害者は90代の高齢で問題に一段落つけることが重要だ。(日本企業資産の)現金化ですべての被害者が十分な賠償金を得られるかも不透明だ」と述べ、肩代わり案への理解を求めた。
 しかし、「実現しないと批判の世論が炎上する」(外交筋)とみられていた被告日本企業の財団への資金拠出について、徐氏は具体的に言及することを避けた。韓国側は、被告企業の自発的寄付を日本政府が後押しすることを期待しているとみられるが、日本側が思惑通りに動くかどうかは予断を許さない。
 原告側弁護士は「日本が何も負担しない案だ」と批判。日本政府が「おわびと反省」を明記した過去の談話などを確認したとしても、「徴用工問題に対する謝罪とは言えない」と強調した。
 徐氏は肩代わり案に関し「必ず同意を求める過程を経る」と原告側の理解を得る努力を尽くす考えを示したが、望み薄だ。韓国政府は、原告が同意せず、財団からの金を受け取らなくても、法的には肩代わりによる債務(賠償責任)の消滅が可能との立場。これに対し原告側弁護士は無効を求める訴訟を起こす意向で、「最低2~3年は財団と被害者間の攻防になる」と語った。
 財団の沈揆先理事長は「被害者や遺族全員が同じ意見ではない」と語り、原告になっていない元徴用工らの見解も反映すべきだとの考えを示唆。韓国外務省幹部は「被害者側の声に加え、一般国民など各界各層の意見を幅広く集約する意味ある場だった」と自賛した。
 この幹部は「きょう出た多様な意見を土台に協議を加速しつつ、解決策を早期にまとめる」と強調した。韓国政府が日本の前向きな対応を当て込み、見切り発車で解決策を決める可能性もありそうだ。

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