中国念頭、経済威圧に新枠組み 生成AIルールへ「広島プロセス」―金融安定へ行動・G7首脳声明

東京, 5月22日, /AJMEDIA/

先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は20日に首脳声明を発表し、中国を念頭に経済的威圧に対抗する枠組みの新設を打ち出した。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」に代表される生成AIに関しては、国際ルール作りに向けて年末までに「広島AIプロセス」の下でG7の関係閣僚が議論することを確認した。世界経済に関しては米欧発の金融不安を踏まえ、「金融システムの強靱(きょうじん)性を維持するために適切な行動を取る用意がある」と表明した。
中国念頭、重要鉱物の依存低減 金融システム強化で一致―G7広島サミット

 経済的威圧を巡り、G7は経済安全保障分野に焦点を当てた初の首脳声明を別途まとめた。中国は近年、政治や外交で対立したオーストラリア産品に高関税を課したり、リトアニアとの間の輸出入を制限したりしている。声明は威圧に対して「深刻な懸念」を表明。新たな枠組みで同志国も交えて威圧について定期的に協議するほか、必要な場合は共同で対抗する。声明は対抗措置として「必要に応じて新たな手段を開発する」と明記した。
 経済安保の確立に向け、G7首脳は半導体などの重要物資やレアアース(希土類)をはじめとする重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化も打ち出した。電気自動車(EV)の生産に不可欠なニッケルの製錬や加工も、中国などの特定国に集中している。米中対立などで調達が滞るリスクを避けるため、「信頼できる同盟国と強靱な供給網を強化」することで一致した。
 広島サミットでは、急速に進化する生成AIの国際ルール作りが主要議題の一つだった。声明は、AIを含む新たなデジタル技術に関し、「国際的なガバナンス(規律)が必ずしも追い付いていない」と指摘。「信頼できるAI」を目指し、民主主義の価値観に基づいた見直しが必要だと訴えた。生成AIについては「機会と課題を速やかに評価する必要性」を強調し、関係閣僚に協議の結果を年内に報告するよう求めた。
 現状の金融システムについては「強靱であることを再確認する」と明記しつつも、金融不安に対処する姿勢も示した。世界経済に関しては、ロシアのウクライナ侵攻が招いたインフレ圧力などを踏まえ、「複数のショックに対する強靱性を示した」と評価。ただ、今後については「不確実性が高まる中、マクロ経済政策は機動的かつ柔軟である必要がある」と警戒感を示した。
 首脳声明は食料安全保障に関連し、ウクライナの農業の復興に向けた支援の継続を表明した。

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