中国、G7結束にくさび 包囲網回避へ欧州切り崩し―広島サミット

東京, 5月17日, /AJMEDIA/

【北京時事】中国の習近平政権は、19日から広島で始まる先進7カ国首脳会議(G7サミット)での包囲網強化に警戒を強めている。G7の結束にくさびを打ち込もうと、対中政策を巡って米国と温度差がある欧州への外交攻勢を本格化。ロシアや「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国を糾合し、米主導の国際秩序に対抗する姿勢を鮮明にしている。
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 「G7が主張する国際ルールは、米国優先の小さなサークルのものだ。G7は中国に国際ルールを守れと言うが、自分たちこそルールを破壊している」。中国外務省の汪文斌副報道局長は11日の定例会見で語気を強め、広島サミットへのいら立ちをあらわにした。
 中国は経済力に加え、ロシアとウクライナの「仲裁役」としての旗印を武器に欧州へ接近。G7メンバーを個別に切り崩そうとしている。
 4月にフランスのマクロン大統領が訪中した際は、習国家主席自ら地方に同行し連日接待する厚遇ぶりで、友好ムードを演出。マクロン氏からウクライナ情勢に関し「あなた(習氏)が頼りだ」という発言を引き出した。マクロン氏がメディア取材で、台湾情勢について「米国に追随すべきでない」との認識を示したことも波紋を呼んだ。
 サミット直前の5月上旬には、秦剛国務委員兼外相が欧州3カ国を歴訪。ドイツでは「3カ月間で3回目」(中国紙)となるベーアボック外相との会談に臨み、フランスではコロナ外相から「陣営対立に加わらない」と米仏離間を期待させる言質を得た。
 中国はさらに、ウクライナ問題解決へ向けた政府特別代表を15日からウクライナや仏独ロなど5カ国に派遣。調停役としての影響力を欧州にアピールしている。
 一方で逆風も生じている。今月、イタリアが中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を検討していると報じられた。イタリアはG7唯一の構想参画国で、離脱が現実となれば中国には打撃だ。同じくG7メンバーのカナダとは、中国総領事館員によるカナダ議員への脅迫計画を巡り、外交官を追放し合う事態に発展。中国による選挙介入疑惑も追及され、亀裂が深まっている。
 G7に対抗するように、習氏は18、19両日、陝西省で中央アジア5カ国との首脳会議を開催する。中央アジアは一帯一路の要衝で、中ロ主導の上海協力機構(SCO)加盟国も多い。サミットと同時期の開催は、中国のアジア地域での勢力誇示と結束強化が狙いとみられる。

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