中ロにらみ、アフリカてこ入れ 岸田首相歴訪スタート

東京, 4月30日, /AJMEDIA/

日本の首相として安倍晋三元首相以来約7年ぶりとなる、岸田文雄首相のアフリカ訪問が29日スタートした。ウクライナ侵攻を続けるロシアや覇権主義的な動きを強める中国がアフリカへの関与を強める中、「法の支配に基づく国際秩序の維持・強化」への支持を得て、5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)につなげたい考えだ。
 「国際的な課題について意見交換し、その結果をサミットの議論充実につなげたい」。首相は29日、羽田空港で記者団に歴訪の意気込みを語った。
 アフリカには冷戦時代に旧ソ連製の武器供与など軍事支援を受けた経緯などから、ロシアと関係が深い国が多い。首相が訪問するモザンビークは2月、対ロシア国連総会決議に賛成票を投じず棄権した。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国には日米欧と中ロのはざまで中立的な態度を取る国が多い。
 首相は昨年8月にチュニジアで開かれた第8回アフリカ開発会議(TICAD8)にオンラインで参加し、力による威嚇で現状変更を認めれば、「影響はアフリカや世界全体に広がる」と危機感を示した。今回の訪問で「法の支配」といったどの国にも受け入れやすい価値観を広めることで、ロシアをけん制する狙いがある。
 中国も経済力を背景にアフリカ諸国への進出を加速させている。昨年末に就任した秦剛外相は今年1月、初めての外遊先にエジプトなどアフリカ5カ国を選んだ。中国外相が毎年最初の外遊でアフリカを訪れるのは、今年で33年目になるという。
 中国の経済支援を巡っては、インフラ整備を進める一方で、相手国を「借金漬け」にして支配を強める「債務のわな」が問題化。実際、首相が2番目に訪れるガーナは昨年12月、コロナ禍もあり、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥った。低所得国が抱える対中債務の割合は、日米欧などの先進国の合計を上回るとされる。
 財政支援規模で中国に太刀打ちできない日本はアフリカを「共に成長するパートナー」と位置付け、人や保健医療分野への投資などきめ細かい支援で日米欧側に引き込みたい考えだ。TICAD8で表明した3年間で官民合わせて総額300億ドル規模の資金投与について、訪問国の意に沿った支援を打ち出すとみられる。
 日本外務省幹部は「教育分野などでの支援を加速させたい」と明かし、アフリカとの連携強化に期待する。別の幹部は「アフリカの東西南北をぐるっと回って、グローバルサウス対策をしっかりやっていると国際社会に見せることに意味がある」と語った。

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