不信任案提出、立民迷走の末 他党冷ややか、漂う孤立感

東京, 6月9日, /AJMEDIA/

 公示が迫る参院選に向け、立憲民主党が岸田内閣と細田博之衆院議長に対する不信任決議案提出に踏み切った。ただ、賛同会派を増やせず、提出のタイミングも当初想定からずれるなど対応は迷走。岸田政権との対決機運を盛り上げられない立民に対する他の野党は冷ややかで、孤立感も漂っている。
 「政府の物価高に対する無策を看過できない。国民に対し明確な態度表明が重要だ」。立民の泉健太代表は8日、記者団に内閣不信任案提出の理由をこう強調した。
 泉氏は国会終盤を迎えるに当たり、内閣不信任案提出について「判断に迷っていた」(党関係者)という。昨年の衆院選で敗北した反省を踏まえ、「政策立案政党」を標ぼうしてきたことから、「批判政党」というレッテルを貼られることを避けたかったとみられる。
 ようやく腹を固めたのは5月31日。政府・与党が2022年度補正予算を成立させると「不信任に値するほどだ」と記者団に語り、提出する方針を示唆した。
 議長不信任案の扱いも、もたついた印象が否めない。当初は今月7日に提出して内閣不信任案につなげていく段取りを描いていたが、党内から「細田氏のセクハラ疑惑に関する週刊文春の続報を待つべきだ」との声が出ていったん保留。最終的に他の野党に提出方針を伝えたものの、議長不信任案は7日、内閣不信任案は8日当日という慌ただしさだった。
 今回の立民の動きには距離を置く野党が多い。日本維新の会幹部は「茶番には乗れない」と突き放し、れいわ新選組の山本太郎代表は取材に「戦ってこなかったのにけんかのふりはやめてほしい」と語り、採決は棄権する意向を示した。両決議案に賛成する共産党幹部ですら「立民から決意も覚悟も伝わってこない」と漏らす。
 参院選が近づいても党勢回復の兆しが見えず、立民内の不満の矛先は泉氏に向かっている。リベラル系の党内最大勢力「サンクチュアリ」が今月に入って開いた会合では、出席者が「次の衆院選は『枝野幸男代表』で戦うべきだ」と主張すると、満場の拍手に包まれたという。

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