ロ軍事会社、異例の国防省批判 ウクライナ東部作戦「手柄」巡り

東京, 1月15日, /AJMEDIA/

 ロシア国防省が13日、ウクライナ東部ドネツク州の重要拠点バフムト近郊の町ソレダルを掌握したと発表したことに、民間軍事会社「ワグネル」が猛反発している。ロシア軍の尽力を前面に出した国防省に対し、ワグネル側は「功績を盗むな」と主張。「友軍」への異例の批判で、かねて指摘される軍とワグネルの溝が露呈した。
 バフムト周辺の戦線は約半年間、こう着していた。攻略の足掛かりとしてソレダルに注目したワグネルは、勧誘した元受刑者らを投入して「捨て身」の作戦を敢行。最後は紛争地で経験を積んだ戦闘員に、困難な市街戦を行わせたもようだ。
 ワグネル創設者で「プーチン大統領のシェフ」と呼ばれる実業家プリゴジン氏は10日深夜、単独でソレダルを掌握したと早々と主張。国防省は翌11日、精鋭の空挺(くうてい)部隊が町を南北から包囲したとし、ワグネルの「手柄」に異を唱えていた。
 国防省は13日、掌握は空挺部隊に加え、攻撃ヘリコプターや砲兵部隊を含むロシア軍の「おかげ」だと強調した。これにすぐさまプリゴジン氏がかみつき、別のワグネル幹部の名で通信アプリ「テレグラム」を通じ声明文を発表。「国防省の発表に驚いた。ソレダルに空挺部隊は一人もいない」「掌握したのは他ならぬワグネル戦闘員であり、彼らを侮辱する必要はない」と批判を展開した。
 国防省はその後、テレグラムで「市街地への総攻撃に当たって、ワグネルが任務を成功させた」と説明を追加した。独立系メディアは「国防省が通信アプリでワグネル(の功績)に言及したのは初めて」と指摘している。
 今回のソレダル掌握と並行し、ショイグ国防相は11日、「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ侵攻を統括する総司令官を交代させ、これまでで最も格上のゲラシモフ参謀総長に担わせる人事を発表した。劣勢のロシア軍が信頼を失い、ワグネルが影響力を増す中、国防省が主導権を取り戻す意図が背景にあるとみられる。

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