マクロン氏再選、欧州に安堵感 EU改革弾み、合意形成課題―仏大統領選

東京, 5月02日, /AJMEDIA/

欧州連合(EU)では、24日のフランス大統領選決選投票でマクロン大統領が再選され、EU懐疑派の極右ルペン候補が敗れたことに安堵(あんど)が広がった。マクロン氏はけん引役としての地位を固め、EUの影響力や権限を高める持論の改革推進に弾みを付けた格好だ。
 ミシェルEU大統領はマクロン氏再選を受け直ちに祝意を表明。「この激動の時代には、より主権を持つ戦略的なEUに向けて、全力を尽くすフランスが必要だ」と強調した。
 選挙戦では、ルペン氏がEUや北大西洋条約機構(NATO)への関与に否定的な自国優先論を展開。終盤でマクロン氏に支持率で接近した。ドイツ、スペイン、ポルトガルの3カ国首脳が仏紙に共同寄稿しマクロン氏支持を訴える異例の内政干渉を行うほど欧州各国の危機感は高まっただけに、選挙結果に首脳らから歓迎の声が相次いだ。
 EUでは、調整役として長年影響力を発揮したメルケル前独首相が昨年退任。後任のショルツ氏がロシアのウクライナ侵攻への対応で十分に存在感を発揮し切れない中、マクロン氏が「欧州で最も強力な政治家だ」(英紙)というのが共通認識となっている。
 マクロン氏は1期目から、外交・安全保障や先端技術で米中に左右されないよう、欧州の自立性を高めるべきだと主張。EUの強化を訴えてきた。EUはこの間、新型コロナウイルス対応で、財政統合の先駆けとも言える巨額資金の共同借り入れを実現。ウクライナ危機を受け3月にはEUの防衛力増強に向けた投資拡大で合意するなど、マクロン氏には追い風が吹く。
 ただ、今後の改革実現には課題も多い。ロシアの脅威が切迫する欧州東部や北部諸国は、NATOでの米軍との連携を最重視。米国依存脱却の行き過ぎをけん制している。マクロン氏は、防衛分野などでの新たなEU資金の共同借り入れも模索するが、独やオランダなどに慎重論は根強い。
 合意形成を優先し妥協もいとわなかったメルケル氏と違い、マクロン氏には持論を押し付ける横柄さへの批判も付きまとう。英歴史学者ティモシー・ガートン・アッシュ氏は、ガーディアン紙で「欧州が最も機能するのは有志連合がある時だ」と指摘。幅広い加盟国との連携を求めた。

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