フィンランド、NATO加盟へ始動 ロシア侵攻で中立転換―スウェーデンも

東京, 5月13日, /AJMEDIA/

北欧のフィンランドが、北大西洋条約機構(NATO)加盟に向け大きく動きだした。大統領と首相が12日にそろって加盟支持を宣言。申請すれば、ロシアと欧州の間でバランスを取ってきた中立政策の「歴史的転換」を意味する。フィンランドの隣国スウェーデンも続く見込みで、ロシア軍によるウクライナ侵攻を契機とした両国の動きは、欧州全体の安全保障のありように大きな影響を及ぼすことになる。
 フィンランドのニーニスト大統領は12日、マリン首相との共同声明で「NATO加盟は国の安全を強化する。遅滞なく申請しなくてはならない」と宣言、「数日以内」に決定がなされるよう望むと述べた。報道によれば、大統領や閣僚らで構成する政府の委員会が15日に最終判断を下し、6月末に開かれるNATO首脳会合までに正式申請する運び。スウェーデンでも与党・社会民主労働党が今月15日に方針を発表する。
 NATOのストルテンベルグ事務総長は声明で、フィンランドが加盟申請を決めれば「温かく迎え入れる」と歓迎姿勢を表明。加盟手続きは「円滑かつ迅速」に進むと強調した。
 人口550万人のフィンランドは、第2次大戦中にソ連と戦い、一部領土を奪われた。その後はロシアを刺激しないよう軍事的中立を保ってきたが、ウクライナでのロシアの暴挙を目の当たりにし、「中立路線では自衛が困難」との認識が急速に拡大。かつて2割程度だったNATO加盟支持は、最近の世論調査で8割近くに達した。
 また1815年のナポレオン戦争終結以降、200年以上にわたって中立を保ってきたスウェーデンでも、5~6割が加盟を支持。野党各党は加盟に賛成しており、与党の社会民主労働党が支持表明すれば事実上申請が決まる。左派の同党は伝統的に加盟に反対してきたが、世論を背景に支持に傾いているという。

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