ビートルズ 1966年の来日 新たな映像公開 警備や最終公演記録

東京, 9月25日, /AJMEDIA/

1960年代に世界中を熱狂させたザ・ビートルズが1966年に来日した際の、警察の警備の様子を撮影した映像が新たに公開されました。映像には厳重な警備態勢のほか、これまで映像が見つかっていなかった日本での最終公演の様子も一部記録されていて、専門家は「当時の資料は出尽くしたと考えていたので驚いている」としています。

この映像は情報公開請求を支援するNPO法人「情報公開市民センター」が、2015年に警視庁に対して情報公開請求を行った結果、ことしの7月に開示されました。

ビートルズのメンバー以外の人物の顔は個人情報に当たるとして開示されず、すべてぼかす加工がされています。

映像に記録されているのは1966年の6月29日から7月3日にかけて、ビートルズが公演のため来日した際の警視庁の警備態勢などを記録した、35分余りの音声のない白黒の映像です。

映像には公演の会場となった日本武道館やメンバーが滞在したホテルの周辺に検問所が設置されたり、武道館の周りの堀を警視庁のボートが巡回したりする様子が記録されていて、当時の大規模な警備態勢の実態が分かる資料になっています。

また映像にはビートルズの公演の様子も一部、記録されています。

中にはこれまで映像が見つかっていなかった7月2日夜の最終公演の様子も含まれていて、演奏を終えたメンバーが手を振りながらステージを降りていく様子が確認できます。

ビートルズの来日時の動向に詳しい専門家の大村亨さんは「ビートルズの資料は出尽くした感があるが、最終日の公演が映っている今回の映像は驚きで、研究する価値が高い」と話しています。
専門家「最終公演の盛り上がり裏付ける資料で意義深い」
ザ・ビートルズの来日公演の映像は6月30日から7月2日の3日間で、合わせて5回行われました。

このうち7月1日昼に行われた2回目の公演が当時、テレビで放送されたほか、のちになって6月30日夜の1回目の公演もテレビで放送されたり、ビデオとして販売されたりして公になっていました。

大村亨さんによりますと、当時のビートルズはコンサート活動を続ける意欲を失っていて、映像が残されているこれら2回の公演の演奏も散漫だったため、失望した日本のファンも多かったということです。

大村さんによりますと、当時のビートルズの広報担当の手記では、初回の公演のあとメンバーが演奏を改善すべきだと話し合ったことが書かれていて、今回、新たに映像が見つかった最終公演は、当時の新聞記事などで最も演奏のできがよかったとされています。

大村さんは「最終公演の写真は残っていたが、映像は公になっていなかった。新たに見つかった映像にはビートルズがステージを降りる様子が記録されているが、熱狂的にハンカチを振るファンや、観客席に向かってご機嫌に手を振るメンバーの姿が確認できる。最終公演が盛り上がったことを裏付ける資料で意義深い」と話していました。

また映像には1回目の公演を観客席から撮影したとみられる映像も残されていて、大村さんは「これまで観客席から撮影した映像は見つかっていなかった。日本武道館で観客席からビートルズがどう見えていたのかがよく分かる」と話していました。
「YouTube」で近く映像公開へ
情報公開請求を行ったNPO法人「情報公開市民センター」の新海聡理事長は「情報公開請求でこういう情報もとれるんだと、みんなに身近に感じてもらういい題材だと思う。過去を認識し未来を考えるためには、歴史的資料を当局が内部で保存し続けるのではなく、明らかにしていくことが重要だ」と話していました。

このNPO法人によりますと、2014年に警視庁に行った情報公開請求では「警備手法が明らかになる」などとして、すべて非開示となりましたが、2015年に改めて請求を行った結果、一部を開示する決定が出されたということです。

ただし、ビートルズのメンバー以外の人物の顔は個人情報として非開示とされたため、センターは全面公開を求め、2017年に東京都を提訴しましたが、2018年に敗訴が確定していました。

このため今回、開示された映像は警備を行う警察官やファンなどには顔にぼかしの加工がされています。

このことについて新海理事長は「判決が確定してから開示まで4年弱かかっているのは遅すぎる。1966年の情報にぼかしをかけるというのが日本の情報公開の貧困さや世界的水準からの遅れを示している」と指摘しています。

この映像は近く「YouTube」の全国市民オンブズマン連絡会議のチャンネルで公開されることになっています。

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