バイデン米大統領、サウジに原油増産圧力 価格高騰受け、月内に訪問検討

東京, 6月5日, /AJMEDIA/

バイデン米大統領は3日、サウジアラビアを含む中東諸国を就任後初めて歴訪する可能性があると表明した。ロシアのウクライナ侵攻でガソリン価格が高騰する中、石油輸出国機構(OPEC)に加盟するサウジやアラブ首長国連邦(UAE)などに増産を求め、圧力を強める。11月の中間選挙を前にインフレ対策に取り組む姿勢をアピールする狙いがあり、米国と産油国の綱引きが活発化しそうだ。
 「十分かどうかは分からない」。バイデン氏は3日、OPEC加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」が合意した原油の追加増産についてこう述べ、評価に慎重な姿勢を示した。増産決定にはサウジが主導的な役割を果たしたとされ、同氏は今月下旬にドイツで予定される先進7カ国首脳会議(G7サミット)出席などに合わせてサウジも訪れ、さらなる増産を求める構えだ。
 OPECプラスは7、8月の増産幅をそれぞれ日量64.8万バレルと、従来の43.2万バレルから拡大する。だが、侵攻を理由とした米欧の経済制裁で、ロシア産原油の生産は日量100万バレル規模で減少。今回の増産だけで世界的な供給不安は解消されないとの見方は根強く、米原油先物相場は3日に一時、約3カ月ぶりの高値を付けた。
 インフレを背景に支持率が低迷するバイデン氏は、ガソリン価格抑制に向けて「(米国単独で)直ちに行動できない」と手詰まりを認めており、中東外交が頼みの綱。増産実現には、人権を重視するバイデン氏と、2018年のサウジ人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件への関与をめぐり批判される同国のムハンマド皇太子の間で悪化した関係の修復も焦点となる。
 ロシアも参加するOPECプラスの次回閣僚会合は30日に開かれる。ロシア産原油の減少分を補う余力があるサウジとUAEから一段の増産を引き出せるかどうかは、バイデン氏の交渉力がカギを握りそうだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts