デジタルで地方活性化 ポストコロナへ戦略急務

東京, 7月5日, /AJMEDIA/

 参院選では、人口減少や東京一極集中など地方が抱える課題への対応もテーマの一つだ。新型コロナウイルス禍では「3密」を避ける心理とテレワークの普及に伴い、東京から近隣県へ転出する動きが拡大したが、地方全体には広がっていない。ポストコロナを見据え、都市部から地方への人の流れを生み出す戦略づくりが急務で、各党は、デジタル技術を活用した環境整備などを訴えている。
 ◇先端技術を投入
 安倍・菅政権は「地方創生」を掲げ、地方での雇用創出や移住支援を推進。ただ、2020年に東京圏の転入超過を解消して地方との転出入を均衡させるとの当初の目標は達成できず、課題は残ったままだ。
 岸田政権は、地方創生を継承しつつ、デジタル化を進めることで地域を活性化させる「デジタル田園都市国家構想」を看板政策に掲げる。地方に住みながら都会に匹敵する情報やサービスを利用できるようにする考えだ。
 今回の参院選公約でも自民党や公明党は、先端技術を駆使して地方の暮らしの利便性を高め、活性化につなげる考えを示す。光ファイバーや高速大容量規格「5G」など、地域のニーズに合わせた情報通信基盤の整備を推進する方針を明記。デジタル化を支える人材の育成なども打ち出した。
 野党側も、立憲民主党が「リモートワーク環境の一層の整備により地方移住を促進する」と主張。日本維新の会も「地方で高速インターネットを不自由なく使える環境整備」により、観光地などで余暇を楽しみながら働く「ワーケーション」を行えるようにすることなどを掲げた。
 ◇課題解決へ財政支援
 各党の公約では、自治体への財政支援強化に関する記述も目立つ。新型コロナ対応では、住民に身近な自治体がワクチン接種をはじめ多くの役割を担う。疲弊する地域経済の回復や、地域の課題解決に向けた独自の取り組みを後押しするためにも必要な財源を確保するのが狙いだ。
 国民民主党は、新型コロナ対応や物価高対策などで自治体が使える地方創生臨時交付金の増額を訴える。自治体向け交付金の充実は、自民、公明のほか、共産党、れいわ新選組なども打ち出している。
 過疎化やコロナ禍で利用客が減少する地方鉄道の維持も課題だ。自民、立民などは、地域公共交通の再構築や支援に言及。無人駅や廃線の増加が問題となる中、社民党は「JRに社会的責任を果たさせる」などと主張する。NHK党は地方政策で目立った記述はなかった。

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