タワマン節税、不公平是正へ 24年度以降、相続評価額上げ―政府・与党

東京, 11月30日, /AJMEDIA/

 政府・与党は、タワーマンションの相続税評価額を引き上げる検討を始めた。関係者が29日、明らかにした。不動産売買の「時価」との差を利用して富裕層が相続税の節税目的でタワマンを購入する例が広がっており、課税の不公平感を和らげるため節税効果の縮小に乗り出す。2024年度以降の制度改正を目指し、23年度与党税制改正大綱に検討課題として盛り込む方向だ。
 マンションの相続税評価額は、国税庁が算出する「路線価」などを基に決まる。一般的に時価よりも安く、相続税額が額面通りに計算される現金に比べて納税額が少なくて済む。また、評価額は低層階と高層階で変わらないため、見晴らしが良く高額な高層階ほど節税効果が大きい。
 マンション相続を巡り、路線価を基にした評価額が不適当だとして、国税当局が財産価値を再評価し、追徴課税に踏み切った例もある。この是非が争われた裁判で、最高裁は今年4月、節税が「税負担の公平に反する」と認定。国税当局による処分を適法だと判断した。
 ただ、国税当局が追徴課税の根拠とした財産再評価に対し、一部の専門家から「適用基準があいまいだ」と指摘されている。これらの経緯を踏まえ、政府・与党は相続税評価額の見直しに着手。今後、一定期間をかけて評価額引き上げの具体案をまとめることでおおむね一致した。
 4月の最高裁判決によると、札幌市の男性らは、父親が計13億8700万円で購入した東京都内などのマンション2棟を相続。路線価による方法で評価額を約3億3300万円と算定し、購入時の借り入れと相殺して相続税を0円と申告した。

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