コロナ分類、見直し議論本格化 改正感染症法「速やかに検討」―死亡率低下も公費負担課題に

東京, 12月3日, /AJMEDIA/

 改正感染症法の付則には、新型コロナウイルスの同法上の位置付けについて「速やかに検討する」との内容が盛り込まれた。厚生労働省は現在の「2類相当」から引き下げる方向で議論を本格化させるが、死亡率の低下や国産治療薬の登場など環境が整いつつある一方、公費負担の在り方などの課題も残っている。
 加藤勝信厚労相は先月30日に開催された厚労省専門家組織の会合で、「コロナの病原性、感染力、変異の可能性をどう評価するのか。分かりやすい考え方を示してほしい」と述べ、委員らに議論を促した。座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は会合後、見直しに向け意見を取りまとめる意向を示した。
 同法では感染症を重症化リスクや感染力に応じて1~5類に分類し、講じるべき措置を細かく定めている。新型コロナは結核などと同様に2番目に厳重な「2類相当」に位置付けられ、治療費は公費負担となっている。
 新型コロナは変異を繰り返し、現在はオミクロン株が主流だ。東京都によると、「第7波」(7~9月)の死亡率は0.09%で、同株が広がった当初の「第6波」(1~3月)の0.14%や、デルタ株が主流だった「第5波」(昨年7~9月)の0.41%より低かった。
 死亡率低下の背景には、ワクチン接種や自然感染で抗体を持つ人が増加したことがあるとされる。加えて塩野義製薬の飲み薬「ゾコーバ」が11月に緊急承認され、治療の選択肢も広がった。
 一方、季節性インフルエンザと同様の「5類」まで引き下げた場合、医療費は原則自己負担となる。日本医師会の釜萢敏常任理事は先月30日、「今後の状況も分からない中で公費負担をやめるのは反対だ。5類よりもコロナ独自の類型で扱う方が適切ではないか」と指摘。加藤厚労相は2日の閣議後記者会見で「公費負担の在り方も含めて総合的に検討を進めたい」と述べた。

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