カンヌ映画祭 脚本家の坂元裕二さん脚本賞 是枝監督「怪物」で

東京, 5月28日, /AJMEDIA/

世界3大映画祭の1つフランスのカンヌ映画祭で、脚本家の坂元裕二さんが是枝裕和監督の最新作「怪物」で脚本賞を受賞しました。日本の作品で脚本賞を受賞するのは、2021年に「ドライブ・マイ・カー」で濱口竜介監督と大江崇允さんが受賞して以来です。

「怪物」は独立賞「クィア・パルム賞」を受賞
今回のカンヌ映画祭で、是枝裕和監督の最新作「怪物」は、カンヌ映画祭の独立賞にあたる「クィア・パルム賞」を受賞しました。

この賞は、映画祭に出品された作品を対象に独自の審査を経て、性的マイノリティーを扱った映画に与えられている賞で、2010年から始まり、日本の映画としては初めての受賞です。
坂元裕二さん ドラマ「東京ラブストーリー」など脚本務める
脚本家の坂元裕二さんは、大阪府出身の56歳。

高校卒業後、独学で脚本を学び、1989年に民放のドラマ「同・級・生」で脚本家としてデビューしました。

1991年には脚本を務めた民放のドラマ「東京ラブストーリー」が都会で繰り広げられる若者たちの恋を描いて社会現象となり、トレンディードラマの旗手として一躍、注目を集めました。

また、児童虐待を描いた「Mother」や、犯罪被害者の家族と加害者の家族の交流を描いた「それでも、生きてゆく」など、社会的な問題に鋭く迫ったドラマの脚本でも高く評価されていて、2018年には「カルテット」で芸術選奨の文部科学大臣賞を受賞しています。

テレビドラマの脚本を中心に活躍してきましたが、映画でも共同で脚本を担当した2004年の「世界の中心で、愛をさけぶ」や、2021年の「花束みたいな恋をした」などのヒット作を手がけています。

こうした功績が評価され、ことし紫綬褒章を受章しています。
坂元さん「たった1人の孤独な人のために書いた 評価され感無量」
映画「怪物」の脚本でフランス・カンヌ映画祭の脚本賞を受賞した坂元裕二さんは、現地から受賞を報告した是枝裕和監督に対し「夢かと思った。たった1人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」などと返事を寄せたということです。
是枝監督 “常に自分自身に問いながら”
坂元さんが脚本賞を受賞したことについて是枝監督は「一足早く日本に帰った坂元さんにすぐ報告します」と述べました。

その上で「脚本に描かれた2人の少年をどのように映像化するのか、2人を受け入れない世界の側にいる大人の1人として、自分自身が少年の目に見返される存在としてしか、この作品に関わる誠実なスタンスは見つけられませんでした」と述べ、脚本が投げかける問題を常に自分自身に問いながら映画の製作にあたったことを明かしました。

そして「みんなの力でこの賞を頂けたと思っています。ありがとうございました」と述べ、製作に携わったスタッフや出演者らに謝意を表していました。
是枝監督 会見「僕も感無量」
坂元さんが脚本賞を受賞したことについて、是枝監督は会見で「4年近くかけて脚本を練って何度も坂元さんたちと意見交換をし、ふだん以上に脚本の隙がなくなった」と述べ、作品を綿密に仕上げてきたことを明らかにしました。

その上で、受賞後に坂元さんからメールが届いたことを報告し「『怪物チームの1人としてうれしいです。感謝します。この脚本はたった1人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です』ということばが届きました。僕も感無量です」と喜びを表しました。
評論家「坂元さんは人間を描ける脚本家」
映画評論家の渡辺祥子さんは、是枝裕和監督の映画「怪物」の脚本で脚本賞を受賞した坂元裕二さんについて、「最近の映画は現象を追求して登場人物の人間味を出すことを忘れている作品が多い中で、今回の作品は人にフォーカスしている。坂元さんは人間を描ける脚本家だと感じます」と話していました。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts