エリザベス英女王死去、96歳 最長在位「開かれた王室」模索―チャールズ新国王即位

東京, 9月9日, /AJMEDIA/

歴代最長の70年にわたり英国君主の座にあり、「国民に開かれた王室」を目指して敬愛を集めたエリザベス2世女王が8日、滞在先のスコットランドのバルモラル城で死去した。王室が発表した。96歳だった。死因は公表されていない。女王死去を受け、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)がチャールズ3世として新国王に即位した。
 新国王は声明を出し「愛する母である女王の死は、私と家族にとって大きな悲しみだ」と表明。国民や英連邦、世界中の人々と「深い喪失感」を共有すると述べた。トラス首相も官邸前で演説し、「英国が偉大な国であるのは女王のおかげだ。その義務への献身はわれわれの手本だ」と長年にわたり国家に奉仕してきた女王を称賛した。
 エリザベス女王は1952年2月6日、父ジョージ6世の急死を受けて25歳の若さで即位。英国をはじめカナダやオーストラリアなど英連邦加盟15カ国の国家元首を務め、生前は世界の現役君主の中で最長の在位期間を誇った。在位中の首相はチャーチル氏から、最近就任したばかりのトラス氏まで計15人に上る。
 26年、国王ジョージ5世の次男ヨーク公(後のジョージ6世)夫妻の第1子としてロンドンで生まれた。出生時は王位継承順位3位で、伯父エドワード(後のエドワード8世)への継承が当然視されていたため、即位は予想されていなかった。しかし36年末、エドワード8世が離婚経験のある米国人女性シンプソン夫人と結婚するため退位。ヨーク公が即位したことから、突如として王位継承順位1位に躍り出た。
 第2次大戦中は戦時労働に積極的に従事し、国民の人気と信頼を集めた。47年にフィリップ殿下と結婚、チャールズ皇太子、アン王女、アンドルー、エドワード両王子の3男1女をもうけた。53年6月にウェストミンスター寺院で盛大に戴冠式が催され、その様子は当時最新機器だったテレビで全世界に生中継された。
 チャールズ皇太子の不倫問題やダイアナ元妃との離婚など、王室を取り巻くスキャンダルの続出に頭を悩ませていたといわれる。一部で王室廃止論も浮上する中、国民に親しまれる王室を模索し、地方訪問や慈善活動に積極的に取り組んだ。
 2007年12月に英君主としてこれまで最長寿のビクトリア女王の年齢を超え、英史上最高齢の君主となった。15年には在位期間も同女王を超えた。80歳を超えて以降は、休息時間を増やすためとして公務の一部をチャールズ皇太子らに引き継ぎ、昨年4月にはフィリップ殿下を亡くした。今年2月に在位70年(プラチナ・ジュビリー)を迎え、6月には国を挙げて記念行事が盛大に開かれた。
 71年の昭和天皇の訪英への答礼として75年に日本を公式訪問。上皇さまは皇太子だった53年に女王の戴冠式に参列されている。

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