ウイグル禁輸法、21日施行 強制労働を阻止―世界が板挟み・米

東京, 6月21日, /AJMEDIA/

中国・新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止する米国の新法「ウイグル強制労働防止法」が21日、施行される。輸入企業は原材料の調達から製造まで、強制労働に一切関与していない証拠を求められる。人権をめぐる米中対立が制裁と報復の応酬に発展する可能性もあり、日本を含む世界の企業が二大国の板挟みとなりそうだ。
 バイデン米政権は、中国の少数民族ウイグル族らへの弾圧を「ジェノサイド(集団虐殺)」としたトランプ前政権の認定を支持。新疆を含む中国で強制労働を利用して作った製品を国際的なサプライチェーン(調達・供給網)から締め出し、「世界の工場」と称される中国経済への過度の依存をやめるよう企業に促していく。
 米税関当局から貨物を差し止められた輸入企業は、米政府がブラックリストに載せた約20の中国企業・団体との取引がない証拠などを30日以内に提示する必要があり、反証期間は現行措置の3分の1に短縮される。禁輸対象品目は現在の綿製品やトマト、一部の太陽光パネル材から大幅に拡大。第三国を経由した製品も対象で、禁輸は8年間続く。
 これに対し、ウイグル族弾圧を否定する中国は猛反発している。19日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は「新法は中国全体の発展を封じ込める意図がある」と非難。秋に共産党大会を控えて弱腰は見せられず、外国の制裁に対抗する「反外国制裁法」を発動し、報復に出ることも辞さない構えだ。
 バイデン政権は中国の人権侵害を阻止しようと、多国間の連携を模索。先進7カ国(G7)で唯一、人権に特化した法規制がない日本も、政府が企業向けの指針策定に乗り出した。企業はウイグル産品の使用をやめて中国で不買運動を起こされるリスクに直面するか、国際社会のバッシングを受けながら取引を続けるか、難しい二者択一を迫られている。

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