アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」米FDAが承認

東京, 1月7日, /AJMEDIA/

日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬についてFDA=アメリカ食品医薬品局は6日、患者の脳内にたまっている異常なタンパク質を減らす効果を示したとして、治療薬として承認したと発表しました。

FDAが6日、アルツハイマー病の新しい治療薬として承認したのは、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきた新薬「レカネマブ」です。

アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

FDAは、研究グループが行ったおよそ850人を対象にした中間段階の治験でこの薬を投与された患者の脳から「アミロイドβ」を減らす効果が示されたと評価しています。

承認された治療薬はアミロイドβがたまる前に取り除くことで神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。

「アミロイドβ」に作用するアルツハイマー病の治療薬がアメリカで承認されるのは今回が2例目で、FDAは「アルツハイマー病との戦いにおける重要な進歩だ」としています。

今回の承認は深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みで行われ、開発したエーザイは、最終段階の治験のデータをもとに、すみやかに完全な承認を申請することにしています。

「レカネマブ」とは
「レカネマブ」は、製薬大手の「エーザイ」がアメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同でアルツハイマー病の治療薬として開発を進めてきました。

アルツハイマー病の治療薬は、これまで神経細胞に作用するなどして症状が悪化するのを遅らせるものはありましたが、病気の進行そのものを抑える薬は国内で承認されているものはありません。

アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

「レカネマブ」は「アミロイドβ」が固まる前の段階で人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。

ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、発症する前の「軽度認知障害」の段階や、発症後、早期に投与することが重要だとされています。
エーザイ「速やかなフル承認申請の達成に向け全力」
今回の承認を受け、エーザイは「アルツハイマー病の当事者と家族が抱える憂慮の解消を目指す継続的な取り組みの成果だ。アルツハイマー病は患者の医学的な問題や家族の介護負担だけでなく、生産性の低下、社会的コストや不安の増大など社会全体に影響を及ぼす問題で、必要とする人々へ薬のアクセスが可能となるよう最善を尽くすとともに、速やかなフル承認申請の達成に向けて全力で取り組む」とコメントしています。
患者・家族の支援団体 “効果を期待”
アメリカでアルツハイマー病の患者やその家族の支援を行っている「アルツハイマー協会」のヘザー・スナイダー博士は、エーザイなどの研究グループが去年11月、この薬に症状の進行を遅らせる有効性が確認されたとする論文を発表したことを踏まえて、「公開された論文からわかることはレカネマブによって、この病気の初期の患者が、より長く日常生活を過ごす、つまり、より長い時間、配偶者や子ども、それに孫を家族だと認識して、結婚式に出席したり、休暇を過ごしたりできるようになると期待できることだ」と評価しました。

そのうえで、「アルツハイマー病とともに生きる人たちにとって、現在、治療法は限られている。今回、承認された薬を病気の初期段階で使えば、患者の生活の質、全体を向上させることができると信じている」と期待感を示しました。

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