「親しみやすい存在に」 売春女性の福祉支援、初の相談員―警視庁

東京, 5月06日, /AJMEDIA/

 警視庁は4月、生活の困窮から繁華街近くで路上売春する女性を福祉支援につなぐ「専門相談員」を全国で初めて配置した。役割を担うのは3月の定年退職後、再任用された非常勤女性職員(60)。同庁保安課で通算14年、売春捜査に携わった経験があり、「親しみやすい存在として話を聞きたい」と意気込む。
 同課は2020年11月、東京・歌舞伎町の歓楽街に近い新宿区立大久保公園周辺などで客を待つ女性に話を聞き、自治体の相談窓口につなぐ取り組みを試験的に開始。今年4月から相談員を置き本格運用に乗り出した。
 「彼女たちにとって路上売春は手っ取り早く金銭を得られる手段。動機は生活困窮やホストクラブへの支払いなどさまざまだ」と相談員は話す。20年秋以降は「勤め先の衣料品店が廃業した」「風俗店で稼げなくなった」など、新型コロナウイルス禍による生活の行き詰まりを理由に挙げる女性も目立つようになったという。
 売春は再犯率が高く、逮捕されても大半は起訴されずに釈放となる。相談員は「生活が立ち行かなくなって再び路上に立つ女性も多かった」と振り返る。
 かつて路上に立つ女性は風俗店で働けなくなった30~40代や外国人が多かったが、近年は20代前半の日本人女性が大半。「捜査員ではなく親しみやすい『おばちゃん』として話に耳を傾けたい」と話す。
 女性への支援には課題もある。相談員は「時間に限りがある中で、通り一遍のことを聞いても信頼関係は築けず、本心を知ることは難しい」と指摘。立ち直りには時間をかけた見守りが必要となるため、「自治体など関係機関との連携を強化していきたい」と語った。

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