「第三極」外交、難しさも岸田首相、アフリカ歴訪前半終了

東京, 5月3日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相は2日、アフリカ4カ国歴訪の前半日程を終えた。ウクライナに侵攻したロシアへの包囲網をグローバルサウスと呼ばれる「第三極」に広げることを目指し、エジプト、ガーナ両国とは「法の支配」に基づく国際秩序の維持を確認。ただ、エジプトからはロシア批判を引き出すことはできず、「第三極」外交の難しさがうかがえた。

 「法の支配による国際秩序の大切さ、力による一方的な現状変更は世界のどこでも認めることができない。この点は一致できた」。首相は1日夜(日本時間2日午前)、ガーナ・アクラで記者団に、エジプト、ガーナ両国との首脳会談の成果をこう強調した。

 グローバルサウスは「欧米」「中ロ」双方と一定の距離を置く。実利優先の傾向が強く、欧米や日本による対ロ制裁が広がりを欠く要因とも指摘される。このため、首相は今回の歴訪を通じ、普遍的価値を共有する国を増やし、ロシアや中国をけん制したい考えだ。
 首脳会談で、「西アフリカの安定した民主主義国家」を自任するガーナのアクフォアド大統領は「大国が小国を踏みにじることが許される世の中があってはならない」と、ロシアを厳しく批判。ただ、エジプトのシシ大統領はロシア批判を避ける従来の姿勢を崩さなかった。
 首相同行筋は「ロシアのウクライナ侵攻は受け入れられないが、各国はどこまでロシアを批判するか慎重に考えている」と語る。
 エジプトは輸入する小麦の6割をロシアに依存している。首相は会談で、エジプトに打撃となっている小麦などの食料価格高騰に触れ、「(原因は)ロシアが作り出している。早い解決が必要だ」と述べ、欧米への協調を促した。
 もっとも、現職首相の訪問はそれぞれ、エジプトは約8年ぶり、ガーナは約17年ぶり。日系企業進出の促進や保健医療分野での協力拡大など、2国間関係は進展した。
 首相はこの後、3日にケニア、4日にモザンビークで首脳会談に臨む。帰路の5日にはシンガポールでリー・シェンロン首相と会談し、同日夜に帰国する予定。このうち、モザンビークは対ロシア国連総会決議に棄権するなど、ロシアと関係が深い。
 後半日程に向け、首相は1日、「G7サミットへの議論につなげる点を念頭に置き、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の重要性を強調し、率直な意見交換を行いたい」と記者団に述べた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts