「最悪」脱却へ行動促す 林外相、9日に訪韓

東京, 5月08日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は9日、韓国の尹錫悦次期大統領の就任式に合わせ、林芳正外相を特使としてソウルに派遣する。林氏は2日間の滞在中に尹氏と会談し、首相の親書を手渡す。日韓関係は1965年の国交正常化以来「最悪」とされる状況になっており、要因である元徴用工問題などの解決に向け行動を起こすよう促す。
 日本の外相の訪韓は2018年6月の河野太郎氏以来となる。
 林氏は9日に外相候補の朴振氏と会談。10日に就任式に出席した後、尹氏と会う方向だ。一連の会談では新政権発足に祝意を示しつつ、関係改善へ「言葉より行動を」と求めるとみられる。外務省幹部は「まずは外相間で積み上げる」と語った。
 革新系の文在寅政権下の5年間で日韓関係はこじれにこじれた。引き金は韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた18年10月の元徴用工判決。日本政府は国交正常化時の請求権協定に反すると反発し、韓国側の責任で是正するよう再三要求したが、日本が受け入れ可能な解決策は示されなかった。
 続けて同年11月、文政権は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった15年の日韓合意を事実上白紙化。18年末には韓国駆逐艦が自衛隊機に火器管制レーダーを照射した。日本側は19年、対韓輸出管理の厳格化に踏み切った。
 保守系の尹氏は対米、対日関係重視の姿勢を示す。ただ、岸田政権は諸懸案の解決には「韓国側の努力が必要」(外務省幹部)という立場を変えていない。近年の韓国政権は保守系でも遅かれ早かれ反日色を強めた経緯があり、日本側は期待と疑念が交錯している状況だ。
 就任式への対応にもこれが反映した。首相は3月の尹氏との電話会談で、早期の対面会談を目指すことを確認。4月には慎重論を押し切って尹氏の「政策協議代表団」と面会した。だが、韓国側が期待を寄せた自身の訪韓は見送り、林氏の派遣にとどめた。
 過去の例としては、03年に小泉純一郎首相、08年に福田康夫首相が出席している。今回も首相訪韓に前向きな意見が首相官邸内にあったが、政府関係者は「政治の決断だ」と明かした。新政権の「本気度」が読めない中で前のめりになるのはリスクを伴うと判断したもようだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts