「懲らしめ」から「更生」へ 拘禁刑創設、制定115年で初―刑法改正案、13日に成立

東京, 6月11日, /AJMEDIA/

 参院法務委員会は10日、懲役刑と禁錮刑を廃止し、「拘禁刑」として一本化する刑法改正案を自民、公明両党などの賛成多数で可決した。13日の参院本会議で成立する見通し。刑の種類や名称の変更は1907年の現行刑法制定後、115年間で初めて。犯罪者の「懲らしめ」から「更生」に軸足を移し、再犯防止につなげる狙いだ。
 懲役と禁錮は受刑者の身体の自由を奪う「自由刑」に当たる。懲役では印刷や洋裁などの刑務作業を課されるが、禁錮に作業義務はない。
 懲役は作業に時間が割かれ、再犯防止指導に十分時間を充てられないという課題が指摘されてきた。2021年版犯罪白書によると、検挙された刑法犯のうち再犯者による事案が占める割合を示す再犯者率は年々増え、20年は49.1%に上る。
 禁錮はそもそも対象者が少ない。20年に刑事施設へ入った受刑者1万6620人のうち禁錮は0.3%の53人。また、21年3月末現在で79.8%の禁錮受刑者が自ら希望して作業に従事していた。
 改正案は拘禁刑に関し、「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、または必要な指導を行うことができる」と規定。若年受刑者に対しては更生に向けた教育の比重を高めるなど、個々の事情に合わせた処遇が可能になる。
 法務省は公布から3年後の施行を目指す。更生重視の考え方は、名古屋刑務所の刑務官が01~02年に受刑者へ暴行を加えて死傷させた事件以降、強まってきた。旧監獄法を改め、06年に施行された刑事収容施設・被収容者処遇法で、刑務所は更生や社会復帰を図る場と位置付けられた。
 改正案にはインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策として、現在は拘留と科料しかない「侮辱罪」の法定刑に1年以下の懲役と禁錮、30万円以下の罰金を加える内容も盛り込まれた。先行的に今夏施行される。立憲民主党などは侮辱罪の厳罰化に関して「言論弾圧につながる」と批判し、それを理由に採決で反対した。

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