東京, 11月4日, /AJMEDIA/
衆院選の結果、自民党など憲法改正に前向きな「改憲勢力」の議席は、国会発議に必要な310議席を下回った。自民、公明両党は過半数割れとなり、予算案や法案の成立には野党の協力が不可欠。石破茂首相(自民党総裁)は安定した政権運営を優先せざるを得ず、改憲の機運はしぼんでいる。
改憲の国会発議には、衆参それぞれ総定数の3分の2以上の賛成が必要で、衆院は310議席。衆院選前は、自民、公明、日本維新の会、国民民主党の4党合わせて上回っていた。岸田文雄前首相は在任中の国会発議を訴え、維新も改憲への取り組みを後押ししていた。
しかし、衆院選で自民、公明、維新は議席を減らした。無所属で当選の6人が自民会派入りしたが、4党で計287議席にとどまる。
「与野党の枠を超え、建設的な議論を行う」。衆院選から一夜明けた先月28日、首相は記者会見で改憲への決意を改めて強調した。ただ、自民内は「憲法よりも2025年度予算案の成立など通常やることを優先すべきだ」(参院中堅)との意見が多い。
維新は馬場伸幸代表が改憲に強い意欲を示してきたが、衆院選での議席減を受けて退陣論が噴出。同党幹部は「誰が代表になるか分からないし、憲法どころではない」と漏らす。
公明は石井啓一代表が退任を表明し、新代表の下で来夏の参院選や東京都議選に向けた挙党体制の構築が急務。緊急事態条項の創設では衆参で温度差があり、党内の意見集約は後回しになりそうだ。
国民は改憲勢力で唯一議席を増やし、4倍増の28議席を獲得した。自民、公明両党が過半数割れする中、急速に存在感を増し、衆院選で掲げた「103万円の壁」見直しなどを自民に迫っている。改憲に関しては、玉木雄一郎代表は「与党がどうするかだ」と推移を見守る構えだ。
一方、改憲に慎重な立憲民主党は衆院選で躍進した。野田佳彦代表は1日の記者会見で、改憲に向けた動きに関して「推進力がずいぶん落ちてきた」とけん制した。