東京, 11月2日, /AJMEDIA/
関西の大手私鉄で、自動改札のタッチレス化に向けた動きが本格化している。顔認証技術の導入を進める大阪メトロ(大阪市)では運賃確定の仕様が固まりつつあり、複数の関西私鉄が参加する協議会ではブルートゥース(無線通信)を利用したシステムの構想が浮上していることが判明した。切符やカード、スマートフォンを取り出さずに改札を通過できるため、実現すれば子連れや障害を持った人の利便性が高まりそうだ。
全国に先駆けて顔認証改札を一部の駅で採り入れている大阪メトロは、設置駅を増やして今年度末に本格的な稼働を目指す。課題である運賃の確定方法については、券売機で発売する切符や定期券のように購入時点で料金が確定する方式の採用が有力となっている。顔認証用カメラを設置した改札で、事前にアプリに登録した顔のデータと照合。車いすの利用客などを対象とした実証実験でも利便性が確認されているという。
ブルートゥース改札は感知範囲の広さを利用。アプリを導入したスマホがカバンやポケットの中に入っていても位置を測定できるため、荷物が多かったり、子どもと手をつないでいたりして、手がふさがっている状況でも改札を通ることができる。日本信号とスタートアップ(新興企業)のSinumy(シナミー)(大阪市)は今年から改札機の共同開発を行っている。関西の大手私鉄などでつくる「スルッとKANSAI協議会」(大阪市)は「要素技術としては有望」と注目。イタリアや韓国でのタッチレス改札の導入例についても研究を進めていることを明らかにした。
10月29日に阪急電鉄など関西の大手私鉄4社が一斉にクレジットカード決済を改札に導入。観光切符など企画券を中心としたQRコードチケットの普及などタッチ改札での手法が広がりを見せる中で、タッチレス改札はその次をにらんだ動きといえる。2025年大阪・関西万博など今後、インバウンド(訪日客)の増加も見込まれる中、鉄道業界では「勉強していかないといけない分野」(南海電気鉄道)と関心を強めている。