東京, 4月16日, /AJMEDIA/
3月に始まった統一地方選と、今月告示された衆院補欠選挙は、安倍晋三元首相の銃撃事件後初の大規模選挙で、警察庁は「同じ失敗は絶対に許されない」と万全の警戒で臨んでいた。その最中に再び起きた応援演説中の襲撃事件で、改めて選挙警護の難しさが浮き彫りになった。
昨年7月、安倍元首相が奈良市で参院選の応援演説中に銃撃された事件では、奈良県警による警護計画の作成や現場警護に問題があった。警察庁は警護要則を見直し、全ての警護を対象に都道府県警の計画案を同庁が事前に審査し、修正を指示する仕組みを導入。今回も和歌山県警が提出した計画を同庁が確認していた。
同庁は銃撃事件後、演説で多く利用される場所に安全上の問題がないか、都道府県警と合同で事前に現地調査している。今回の漁港は演説が頻繁に行われないため、県警単独の調査だった。
警察庁は今回の警護について、新しい要則の下で適正に実施されたかを詳しく検証する。一方、どれだけ事前に警護計画を練り上げても、安倍元首相を銃撃したなどとして起訴された山上徹也被告(42)のような、組織に属さない単独の「ローン・オフェンダー」による攻撃を防ぐのは難しい。
警察庁幹部は「国際情勢や思想信条を基に攻撃する組織やテロリストと違い、孤立した者が個人的な理由で攻撃する場合は事前に把握のしようがない。かといって、やみくもに警察官を配置すればいいというものでもない」と苦悩する。
来月には広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開催される。15日には閣僚会合が始まった。警察による警備・警護の実効性が試される場面が続く。