運航会社社長を起訴 業過致死罪、知床観光船事故―釧路地検

東京, 10月9日, /AJMEDIA/

 北海道・知床半島沖で2022年4月、26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、釧路地検は9日、業務上過失致死罪で、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)社長の桂田精一容疑者(61)=同町=を起訴した。容疑者死亡のまま書類送検された豊田徳幸船長=当時(54)=は不起訴処分とした。

 海難事故で、操船に関与していない経営者の刑事責任が問われるのは異例。捜査関係者によると、桂田容疑者は容疑を否認しているという。

 弁護人は同日、釧路地裁に保釈を請求。桂田容疑者は「これからも謝罪と償いを続ける。裁判では私個人の認識や記憶していることを申し述べたい」とするコメントを発表した。

 起訴状によると、同社が定めた運航基準で出航を中止すべき風速や波高が予想され、死傷事故を発生させる恐れを予見できたのに、桂田容疑者は運航管理者などとして出航や航行継続の中止を船長に指示すべき義務を怠り、高波でハッチから海水が流入したカズワンを沈没させ、26人を死亡させたとされる。

 桂田容疑者は事故当日、船長と「天候が悪くなったら引き返す」と打ち合わせた上で出航を決定しており、逮捕後の取り調べでは、船長が航行中に引き返していれば事故は回避できたと主張しているとみられる。公判では、事故を予見できたかが争点となる見通し。

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