東京, 11月17日, /AJMEDIA/
奈良市の小学1年有山楓さん=当時(7)=が下校途中に誘拐され、殺害された事件は17日で発生から20年となった。事件を受け、登下校時の児童の安全確保に注目が集まったが、見守り活動などを行う防犯ボランティア団体は近年減少傾向にあり、担い手の高齢化も進む。現場では時代に合わせた活動の模索が続いている。
事件当時、楓さんが通っていた同市立富雄北小学校では15日に全校集会が開かれ、本人の写真がスクリーンに映し出された。亡くなった時の年齢に合わせて7回鐘を鳴らし、児童や教職員らが黙とう。当時捜索に当たった住民の上城戸栄子さん(74)は「あってはならない悲しい事件だった」と振り返り、見守り活動の継続を訴えた。
ただ、地域の見守り活動は全国的に縮小傾向にある。警察庁によると、全国の防犯ボランティア団体は2016年の約4万8200団体をピークに、23年には約4万4100団体まで減少。平均年齢が70歳以上の団体は、16年には約14%だったが、23年には約32%まで増加した。
こうした流れを受け、奈良市は全ての小学校でICタグを活用した見守りサービス「ツイタもん」を18年から導入している。児童がタグを持って校門を通過すると、時刻が記録され、保護者に送信される仕組みで、共働き世帯を中心に好評だ。
地域防犯を管轄する奈良県警生活安全企画課は「通学路の安全確保のためには人の手が欠かせないが、事件から20年を迎え、危機意識は低下しつつある」と指摘。ICタグの活用は効果的だとした上で、「企業による防犯パトロールなど、地域が一丸となって子どもを見守る風潮を醸成していきたい」と話した。