東京, 01月22 /AJMEDIA/
地震で大きな被害を受けた 人口およそ350の石川県輪島市七浦地区。
地区の人たちはいま、避難するかとどまるか、大きな判断を迫られています。
七浦地区で暮らす東栄一さん(73)。
現状を知ってもらいたいと携帯電話で動画の撮影を続けています。
この地区では、避難生活が長引くなか2次避難を始める人も相次いでいます。
19日 90代の男性が息子のもとへ「病院も近いので」
東さんが今月19日に撮影した動画には、90代の男性が石川県小松市に住む息子のもとに身を寄せるため迎えに来た車で地区を出発する様子が映されています。
男性は「電気と水道が来なければここにいてもしかたない。足もだんだん動かなくなってきたし、病院も近い息子のところに行ったほうがいいと思った」と話していました。
東さんは「水道が通るようになったらまた戻ってきてください」と声をかけていました。
東さん
避難生活が長引くにつれ、口かずが少なくなったり、会話が少なくなったりしている人もいる。こうした状況に限界を感じて避難する人もいるのではないかと思う。知っている人が出て行くのはさみしいし、また戻ってきてほしい。
家屋が全壊した地域もある中、この地区は一部損壊程度で雨漏りはあっても寝る場所が確保できているので私はまだとどまろうと思っている。2次避難には不安が伴うので行政などにはもう少し丁寧な説明をお願いしたい。
21日 11人が地区を去ることに「また戻ってきてね」
21日は11人が地区を去ることになりました。
21日午前中に撮影した動画には、荷物を詰めたバッグを持った人たちが市が用意した2台の車に乗り込む様子が映されています。
中にはつえをつきながら歩くお年寄りもいて、ほかの住民に支えられながらゆっくりと乗り込んでいました。
車が出発すると、見送りに集まった人たちが「体に気をつけてね」「また戻ってきてね。待ってます」などと声をかけていました。
避難するかとどまるか…家族で判断分かれるケースも
2次避難をするか地区にとどまるか家族や親族の中で、判断が分かれるケースもあります。
竹田みどりさんは、家の片付けなどのために地区に残ることを決めました。
一方、高齢の義理の両親は2次避難することを決め、21日、地区を出発しました。
竹田さん
みんなで一緒にいたい気持ちもありますが、片づいたら帰ってきてほしいなと思っています
東さんも 妻と離れ離れの生活に
動画の撮影を続けている東さんの家庭でも、夫婦が別々の選択をすることになりました。
妻の由紀恵さんは停電や断水が続き、友人も地区外へ避難したことから、別の県に住む娘のもとへ身を寄せることを決めました。
東さんは、地区の復旧、復興のためにできることをしたいと、とどまるため、しばらく、離れ離れの生活となります。
妻の由紀恵さん
「親しい友人も避難して、水もない不便さを感じています。雪の予報が出ていて、雪のないうちに行こうと決めました」
東さん
地区から人がどんどんいなくなり、さみしいと同時に本当に帰ってくるのかと懸念しています。電気や水、日常生活を取り戻した時に帰ってきてほしいと思います。戻れないような郷里にはしたくないと思うので、復興に向け、震災後の街づくりを進めてほしい。
能登はこれで負けません。がんばってもう一度、輝けるまちにしたい。