東京, 3月29日, /AJMEDIA/
東京電力福島第一原子力発電所の事故発生当初、十分な機能を発揮できなかったとされてきた1号機の冷却設備について、原子力規制委員会は、事故発生から12日後にこの設備が一時的に動き、冷却機能が働いていた可能性があるとする調査結果を公表しました。
福島第一原発1号機に設置されている「非常用復水器」は、電源を必要としない冷却手段で、すべての電源が失われた14年前の事故でも使えた可能性が指摘されていますが、冷却機能は十分発揮されず、核燃料が溶け落ちるメルトダウンを防ぐことはできませんでした。
ただ、事故のあと、原子炉を冷却する際に使うこの設備のタンクから20トン余りの水が無くなっていたことが分かり、その原因が謎とされていました。
原子力規制委員会は事故の分析を続ける中で、去年からこの「非常用復水器」について調査していて、28日開いた検討会で中間報告を公表しました。
この中では、設備の配管に取り付けられている温度計のデータや、現地調査の結果などから、事故発生の12日後にあたる3月23日から24日にかけて、一時的に動き、冷却機能が働いていた可能性があるということで、タンクの水は、原子炉を冷やした際に蒸発して無くなったとみられるとしています。
原子力規制委員会は、メルトダウンが起きたあとでも何らかの原因で冷却機能が働く可能性が示唆されたとして、今後、設備が一時的に動いた原因をさらに詳しく調べることにしていて、謎が残る原発事故の全体像の解明につながるか注目されます。