東京, 8月23日, /AJMEDIA/
【ベルリン時事】東京電力福島第1原発からの処理水放出決定を受けて、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は22日に声明を発表し、同原発構内にIAEAが新設した拠点には既に職員が常駐しており「安全基準に合致しているかどうか、放出が始まる日も監視できる」と強調した。監視データを国際社会が利用できる形で、なるべく即時に公開する方針も表明した。
周辺国で渦巻く反対 中国は水産物標的に―処理水放出
「最後の一滴が安全に放出されるまで、われわれはここにとどまる」。7月、放出計画の安全性を評価した包括報告書を岸田文雄首相に手渡したグロッシ氏は、福島に専門家を派遣し、今後数十年に及ぶ放出作業を最後まで見届ける考えを明らかにした。
グロッシ氏は地元漁業者らとの意見交換後、今度は韓国やニュージーランドなど、海洋環境の悪化を不安視する国々を訪問。人体や環境への影響は「無視できる」程度だとする、科学的な中立性に基づく分析結果を伝え、国際的な懸念に応える姿勢を示した。
安全で平和的な原子力の利用を推進するIAEAにとっては未曽有の事故処理を巡り、国際社会に存在感を示す好機でもある。ただ、IAEAに多額の拠出金を負担する日本に肩入れしているといった根拠のない情報も出回っており、今後の監視活動では外部からの疑念を払拭する公平で客観的な説明が一層求められそうだ。