東京, 1月19日, /AJMEDIA/
ポスティングシステムを利用したプロ野球ロッテの佐々木朗希投手は、米大リーグのドジャースへの移籍が決まった。技術面について、筑波大で野球コーチング論を研究する川村卓教授(54)=野球部監督=に分析してもらった。
昨季、プロ5年目で初めて10勝を挙げた一方で、調子の上がらない時期もあった。川村教授は投球フォームの印象を「肘が下がっていた。高校の時はもっと上から投げていた」と語る。スリークオーター気味になることで、直球のシュート回転が大きくなり制球が難しくなる。球速が上がらず、スライダーが抜けることも目立った。良い時は腕を縦に振ってコンパクトに投げられていたが、振りがやや斜めになって安定感を欠いたとの見方だ。
従来のフォークに加え、シュート回転しながら鋭く落ちるフォークも見られ、こちらは武器の一つとなっていた。ただ、新たな武器は投げる際に腕が下がりやすく、他の球種にも影響した可能性があるという。
もう一つの懸念が先発ローテーションを守れていない点だ。昨季も夏場に離脱した。「回復に時間がかかってしまうのは一番の問題」。米国では移動の負担が大きく、短い間隔で登板を求められることもある。「今できるのかと言われたら、すぐには難しい」と見通す。
23歳での渡米。川村教授は能力の高さを認めつつ、「いろいろなことをもっと試す時期」との見解を述べる。調整法や投球面で「引き出しが確立できていないところがある」。課題をどう克服していくかが注目される。
◇川村教授の略歴
川村 卓氏(かわむら・たかし)札幌開成高3年時に主将として夏の甲子園出場。筑波大でも主将としてプレー。大学院体育研究科(当時)修了後、北海道・浜頓別高監督を経て、01年から筑波大監督。大学日本代表コーチも務めた。日本野球学会会長。専門は野球コーチング論で、吉井理人氏(現ロッテ監督)らを指導。「コーチング学」の博士号を持つ。19年には岩手・大船渡高時代の佐々木朗希投手の投球動作を解析した。54歳。北海道出身。