東京, 11月30日, /AJMEDIA/
オーストラリアが受け入れる留学生の人数に来年1月から上限を設けることを定めた政府提出法案が廃案となった。移民全体の大幅削減を求める右派野党の保守連合と、留学生削減に批判的な左派野党の緑の党が共に反対し、上院で過半数を割っている与党・労働党は法制化失敗に追い込まれた。政府はビザ審査の厳格化など他の手段で留学生削減を進める考えだ。
豪州では住宅不足と家賃高騰が深刻化し、留学生を含む移民の受け入れ削減を求める声が高まった。コロナ禍収束に伴い留学生は急増して2023年に32万人に上り、政府は25年の受け入れ上限を27万人とする法案を提出していた。
保守連合の自由党は、与党よりも強硬に移民削減を主張。ダットン党首は留学生受け入れを年16万人まで減らすよう訴えていた。当初は法案に賛成するとみられたが、来年5月までに行われる次期総選挙をにらみ、「政府案は不十分で、抜本的解決にならない」と態度を硬化させた。一方、緑の党は「留学生を減らす閉鎖的政策は豪州の評判を落とす」と、自由党とは真逆の立場から法案阻止へ動いた。
政府は今後、立法措置を必要としない政策で留学生を抑制する方針で、ビザ審査の際に高い語学能力を求める。今年7月には留学ビザ申請料金を以前の2倍超の1600豪ドル(約16万円)に引き上げた。内務省によると、7~10月の同ビザ申請者は12万9800人と前年同期より3割近く減少した。