東京, 9月9日, /AJMEDIA/
8日に衆参両院で行われた東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に関する閉会中審査では、漁業者支援などに「責任」を果たすとした政府の姿勢に対し、野党から本気度に疑問を呈する声が出た。岸田文雄首相が審議に出席しなかったことにも批判が上がった。
政府、水産業支援に万全 西村経産相「機動的に予算確保」―処理水で閉会中審査
「超長期で全責任を負うことをどう担保するのか」。衆院の経済産業、農林水産両委員会の連合審査で質問に立った立憲民主党の長妻昭政調会長は、風評被害などの対策について「今後数十年の長期にわたろうとも、全責任を持って対応する」と表明した首相の発言に触れ、こうただした。
これに対し、西村康稔経産相は「関係閣僚会議の公式文書に書かれており、非常に重いものがある」と強調。だが、長妻氏は納得せず、「(期間中に)首相も代わる。変動しない法的枠組みを考えてほしい」と要求した。
共産党の高橋千鶴子氏は、2015年に政府が福島県漁連と交わした「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束に言及。首相が放出に先立つ福島訪問で漁連関係者と面会しなかったことなどを念頭に「誠実ではない」と断じた。首相不在の審議となったことにも「なぜこの場にいないのか」と批判した。
立民の泉健太代表も記者会見で、「首相出席でやるべきだと言っているのに受けない。与党による審議拒否だ」と語った。
参院の審査では公明党の下野六太氏が、風評被害の防止に向けて、周辺海域でのモニタリング結果に関する情報開示を徹底するよう要請した。西村経産相は「モニタリング結果は一元化してウェブサイトで見られるよう、多言語でも発信している」と説明し、理解を求めた。