東京, 9月1日, /AJMEDIA/
2025年の大阪・関西万博を巡り、岸田文雄首相は31日、政府主導で成功を期す考えを表明した。開催準備が遅れる中、自民党の一部や大阪を地盤とする日本維新の会から政府の姿勢を疑問視する声が上がり、混乱の拡大を避けるため自ら収拾に乗り出した。ただ、後手に回っていることに不満がくすぶる。
大阪万博、会場建設費「しんどい」 協会会長
大阪府の吉村洋文知事(維新共同代表)や大阪市の横山英幸市長(大阪維新の会幹事長)も出席し、31日に首相官邸で開かれた関係者会合。首相は報道陣に全面公開したその場で「万博の成否には国際社会の日本に対する信頼が懸かっている。政府の先頭に立って取り組む」と強調した。
海外パビリオンの建設が遅れる可能性がささやかれだした6月ごろ、政府は「外国政府と民間企業の契約で、国は支援しようがない」(関係者)と及び腰だった。これに対し、維新幹部は「熱心さが見えない」と不満をこぼしていた。
馬場伸幸代表も8月30日の党役員会で「国のイベントだ。大阪の責任ではなく国を挙げてやっていく(べきだ)」と述べた。
こうした溝は、岸田政権と維新の距離を反映している。維新は対決姿勢に傾斜し、安倍、菅両政権時代に比べると官邸とのパイプは細った。維新側には「国はわれわれの責任にするのか」との不信感が渦巻き、業を煮やした幹部が「国の案件だ」と、関係者会合の開催を官邸側に求めた。
首相は会合で、予定通り25年4月に開幕できるよう「オールジャパン」の取り組みを訴えた。だが、海外パビリオン工事に必要な許可申請の遅れが表面化してから既に2カ月以上。維新幹部は「遅い」と断じた。資材高騰や人手不足といった課題をクリアできなければ、維新は再び反発を強めそうだ。
自民党内にも政府への不満があった。超党派の万博関連議連の会長を務める二階俊博元幹事長は、かねて周辺に「大阪の万博ではなく日本の万博だ」とこぼしていた。首相は30日、二階氏を党本部に訪ね、「総力を挙げる。支援をお願いしたい」と呼び掛けた。
ただ、自民党内では一方に、万博の中止論や延期論がくすぶる。関西選出のある衆院議員は、今後も大阪を中心に維新とは各種選挙で対決が見込まれることを念頭に、「成功したら維新の手柄、失敗したら政府のせいになる」と懸念を示した。