木造密集、なお8600ヘクタール 「40年代にゼロ」目標―東京都

東京, 8月19日, /AJMEDIA/

 9月で発生100年となる関東大震災では、火災による死者が約9万2000人に上った。密集した木造住宅が大きな原因で、現在も課題となっている。東京都によると、老朽化した木造住宅が密集する地域(木密地域)は2020年時点でなお約8600ヘクタール。都は首都直下地震を見据え、40年代にゼロにする目標を掲げ、建て替え促進に取り組む。
 都内の木密地域は、荒川区や台東区などJR山手線の外周部にドーナツ状に広がる。関東大震災後の帝都復興事業で23区の中心部を整備した際、周辺部に被災者や復興事業に従事した作業員らが長屋の住宅を建てた。これが、震災後の都内の木密地域の始まりとされる。
 戦後、都は木密地域も含む大規模な区画整理を計画したが、資金難などで、実現したのは山手線などの駅前地区にとどまった。都担当者は「震災や戦災を免れた地域は、戦前のままの基盤整備で取り残されている」と指摘する。
 都は木密地域のうち震災時に特に甚大な被害が想定されるエリアを「整備地域」に指定。中でもさらに集中的に対策を行う必要のある地域を「不燃化特区」として、助成金の支給や固定資産税の減免などで建て替えを促す取り組みを13年から本格実施している。特区は52地区ある。
 こうした努力もあり、都内の木密地域は1996年の約2万4000ヘクタールから、2020年では約8600ヘクタールと3分の1程度に減ったが、それでも解消には遠い。
 そのため都は23年度、特区内での家屋建て替えの工事費を支援メニューに追加。特区以外で家屋を撤去する費用も対象に含めた。ただ、こうした地域は道路が狭いほか土地の権利関係が複雑で建て替えや道路拡幅が進みにくい。都担当者は「所有者や家を借りている人など、交渉相手も多い」と難しさを話す。
 国も対策を進める。木密地域も含め災害時に延焼する危険性が高かったり、道が狭く避難が難しかったりする「危険密集市街地」は22年度末で12都県1875ヘクタール。12年度の17都府県5745ヘクタールから減ったが、道半ばだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts